瀋陽鉄路陳列館とは?

瀋陽鉄路陳列館は中国の東北部、瀋陽市の郊外にある鉄道の展示施設です。満州鉄道時代に製造された車両から、現在線路を走っている形式まで、約50両の車両が展示されています。中でも満州鉄道の看板列車だった「あじあ号」を牽引していたパシナ型蒸気機関車が保存されていることで知られています。
長らく関係者のみにしか公開されてこなかった施設ですが、2019年より一般にも公開されており、外国人でも入ることが可能になっています。車両の他鉄道の歴史などが展示されています。展示物は年々増えているようで、2025年に新たに撫順電鉄の車両2両および保線関係の展示が新たに追加されたようです。
展示されている車両
日本人にとって瀋陽鉄路陳列館の目玉は「あじあ号」の牽引機パシナ型でしょう。しかしそれ以外にも満州鉄道の車両から最近の車両まで、多種多様な車両が展示されています。

満州鉄道パシハ形(→勝利8)です。パシナ形と同じく特徴的な流線形のSLです。

FD形です。ソ連製のSLで、動輪が5個あるのが特徴的です。

PL形です。1907年アメリカ製のようです。

こちらはルーマニア製のSLのようです。

建設形です。主に貨物列車の牽引として使用されたようです。

上游型です。主に入換用だったようです。

満鉄ミカロ形(→解放6)です。同型の機関車は北京の鉄道博物館にも展示されています。

満鉄ミカニ形(→解放2)です。

ST2形です。こちらはドイツ製となっています。

そして満州鉄道の看板列車、あじあ号を牽引していたパシナ型(→勝利7型)です。12両製造されましたが、現存しているのはこの2両のみと言われています。右の水色の車両が751で、中国になって以降の状態が再現されています。かつては動態保存していたようですが、現在はここで静態保存となっています。左が757で、満州鉄道時代が再現されていると思うのですが、車番のプレートが「アジア757」となっています。ここに入るのは形式名なのでパシナだと思うのですが・・・。どうなんでしょう。こちらはもともと大連で保存されていたようですが、現在では751と並んで瀋陽に展示されています。
ここからは客車と気動車です。


満鉄ハ5形(→YZ5形)です。車内も入ることができます。窓が非常に小さいのが特徴です。

テンイネ2形(→GW97310)です。車番はなぜか997310になっていますが、恐らく97310が正しい番号ではないかと思います(間違ってたらごめんなさい)釜山~北京間を運行する大陸号の展望車で使用後、中国時代には専用列車などに使用されたようです。


この2両は2025年に新規公開されたエリアにある車両です。それ以前は展示館の1/3は入れないようになっていましたが、2025年の上半期に新たに入れるようになりました。そこにあるこの2両。上が119号、下が247号です。説明書きには満州鉄道時代の車両と書かれていますが、この辺の気動車は出自不明なものが多いらしく、この2両もそうです。確かに満州鉄道時代の車両とスタイルは似ていますが、どうもこの車両は戦後中国で製造された可能性が高いようです。旧満州鉄道の車両が多数流れている撫順鉄路の車両っぽい気もしますが、少なくとも247号は哈局の公務車として使用されていた模様。119号は本当になんの車両か謎です。撫順鉄路にも119号という車両がいたようですが、前面の形状が大きく異なっていることから違う車両と思われます。
ここからは比較的最近の車両です。

普通に中国ならどこでも見られる車両、CRH3Cです。車番は試作車のCRH3-999Cとなっています。ドイツのICE、シーメンス・ヴェラロをベースに製造されています。ただこの車両は実物ではなくどうやらモックアップのようです。

中国が開発した高速鉄道車両「中華之星」(DJJ2型)です。2002年に最高速度260km/hの車両として製造されましたが、実際の運用では160m/hまでしか出すことができず、多くのトラブルを抱えることになったことから、これ以降は日本やドイツなど他国からの技術提供を受けCRH系列の車両を開発しています。なお同型の車両は反対側の先頭車を含む4両が北京で保存されています。

YW25K 000001です。25K系列は最高速度が160km/hですが、この車両の最高速度表記は140km/hとなっているのが謎です。現在25K客車はほとんど緑皮になっていますが、この車両は登場時の白と青の塗装となっています。

YW25T 000002です。25T系は25Kよりさらに新しい車両です。ドアの形状が25Kとは異なっています。25Tも現在は緑皮になっていますが、この車両は登場時の白と青の塗装になっています。かつては香港と深圳、広州を結ぶ列車もこの塗装でしたね。

YW25G 661613です。K列車などを中心に中国どこでも見ることができる25G系列です。この系列から本格的に冷房が取り付けられました。こちらも現在では緑皮になっていますが、この車両は登場時の赤い塗装となっています。
ここからはディーゼル機関車です。

HXN3形です。アメリカのEMD社との共同開発で、高速鉄道用車両と同じく「和谐号」の名前が付いています。現在でも普通に運用されている機関車です。HXN3 0000という番号の車両は存在しないようなのでもしかしたらモックアップかも?

DF7G(東風7G)です。主に入換などに使用される機関車で、現在も中国全土で見られる機関車です。

こちらは1976年から製造されたDF5(東風5)です。

DF4(東風4)です。かつては中国のどこでも見られた大量にあった機関車ですが、最近では置き換えも進み、徐々に数を減らしています。

おまけです。タブレット閉塞機です。日本にあるものとほぼ同じ見た目なので、満州鉄道時代から使用されていたものかもしれません。
行き方
一応最寄り駅は蘇家屯駅ですが3kmほど離れており、蘇家屯駅は本数も少なく客車列車しか停車しないので不便です。バスが出ています(143路)が本数が少ないようで、時間に余裕のある場合以外はあまりオススメできません。蘇家屯駅の次に近いのが瀋陽南駅で、こちらは本数はあまり無いながらも高速鉄道が通っており、地下鉄も通っています。ただし直接行けるバスはなく、タクシーでのアクセスが基本となります。タクシーの場合乗車時間は15分程度、料金は15元~20元(300円~400円)程度です。瀋陽市街地(瀋陽駅付近)からのアプローチも選択肢の1つです。バスの場合瀋陽駅から324路に乗車し「辽宁中医职技学院站」にて下車、そこから徒歩1kmほどで到着となります。タクシーの場合は乗車時間30分~40分、料金は40元~50元(800円~1000円)程度になると思います。
入場方法
瀋陽鉄路陳列館は予約制になっています。とはいえ予約制と言っても何日も前から予約する必要はなく、当日でも予約が可能です。中国だと中国の電話番号が無い場合予約できないことも多いですが、瀋陽鉄路陳列館はトリップドットコムからとても簡単に予約できます。予約なしでも入れそうな雰囲気はありましたが、予約をしておくと入場料金が半額になります。トリップドットコムは日本語にも対応していますし、中国に行くなら航空券やホテルの予約で必ずと言っていいほど使うサービスなので登録しておきましょう!予約なしでも入場することができるようですが、予約と比べて料金が2倍になってしまうので、予約をオススメします。
入場はスマホのトリップドットコムのアプリから、予約情報を選択するとQRコードの表示ボタンがありますので、そこからQRコードを表示させます。このQRコードを入口の読み取り装置に読み取らせることにより入場可能です。受付の人もいますが特に受付で何か手続きが必要ということはないようです。
入場料金など
・営業日 :火曜日~日曜日(月曜日休館)
・営業時間:9時~16時(入場は15時30分まで)
・入場料金:80元(予約の場合40元)
※子供/学生(6~18歳)・高齢者(60歳以上)は20元
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