天浜線さくらトレイン 開催レポート

去る4月2日に、貸切列車&同人誌即売会「天浜線さくらトレイン」を開催いたしました。当日の状況について、ここに備忘録として記録しておきたいと思います。

目次

開催に至るまで

天浜線さくらトレインの企画は去年7月頃より行っていました。当初は単純にフォロワーを呼んで、軽くオフ会のようなことをしようかな、と考えていたのですが、昨年10月頃に計画を変更し、両数を1両から2両に、さらに車内で同人誌即売会を企画し、より大きなイベントを目指しました。

22年12月末頃より参加者を募集し始めました。翌1月にはネットニュース(KAI-YOU様)のネットニュースにも掲載されました。当初は2月末でサークルの募集は締め切りする予定でしたが、予定を変更して3/19までサークルを募集し、最終的に自分のサークルを含め9サークルが参加しました。一般参加者の募集は当日まで実施し、最終的に24名が参加しました。

また、オリジナルヘッドマークを制作し、貸切列車と、その前後1週間は一般列車にも掲出しました。

前日の準備

前日はまず天竜二俣駅に向かい、この日までゆるキャン△ラッピング車に付いていた「さくらトレイン」HM付き車両が転車台で回るので、それを撮影しに向かいました。

撮影後はまず杏林堂(ドラッグストア)で飲み物を購入。地酒の一升瓶と2リットルボトルのジュースとお茶を3本購入。その後はセリア(百均)へ行き、飾り、紙を入れる袋、釣り糸、はさみ、穴あけパンチ、ホワイトボードマーカー、カラーペン、吸盤付きフック、紙コップなどを購入。さらに銀行でお金を下ろした後、コンビニで企画書、飾り、参加者リストを印刷。その後ヤマト運輸で新刊と参加記念品を受け取り。その後はこの日に行われるであろう、TH2101の試運転を狙いました。

TH2101はこの一週間ほど前に故障したようでしたが、この貸切のため(?)に修理し、貸切列車より運用に復帰しました。この後は舘山寺温泉に宿泊しました。

時刻表

貸切運転は新所原~天竜二俣往復ですが、車庫が天竜二俣にあるため実質的に2往復の運転です。送り込み回送は通常1時間20分ほどで行ける二俣~新所原間を1時間37分かけてゆっくり走るダイヤです。途中の金指駅では22分の停車でした。貸切往路は各交換駅の他、尾奈、都筑、気賀、都田駅に停車しました。復路は交換駅のみ停車です。返却回送は新所原~金指間を通常最速43分かかるところを36分で走破する俊足ダイヤで、かつての快速列車のようなダイヤです。また、反対側の列車(335列車)は時変をかけての運転となりました。

当日朝-天竜二俣駅へ

今回の貸切列車は新所原発着ということで、列車はまず天竜二俣から新所原へ回送されます。この回送はダイヤグラムを見たところ、宮口と金指でかなり長時間停車するため、天竜二俣で撮影して高速を飛ばせば新所原駅に10時には着けると踏んだので、天竜二俣駅へ。

213レで到着したTH2102に、天竜二俣駅から出庫してきたTH2101が連結します。この時点で車内をのぞき込むと、16脚お願いしていたテーブルが8脚しかないことに気付きました。もし天竜二俣に行かずに新所原に直行していたらこれに気付くのが新所原駅で気付くことになりましたが、天竜二俣で気付いていたことにより、なんとか出発時間までに対処法を考えることができました。今回の参加サークル数は自分のサークルを除けば8となり、辛うじてテーブルは足りました。危ないところでした。

天竜川橋梁にて。自分が主催の貸切列車とはいえ、天浜線での国鉄色重連は激アツです。なんとか主催としての仕事に影響が出ない範囲で撮り鉄することができました。

新所原駅-受付から出発

新所原駅には10時頃に到着。スタッフ参加のサークル販売担当と合流し、10:15頃より順次受け付けを行いました。あらかじめ参加者リストを制作しており、受付の際に蛍光マーカーで色を付けました。参加者は前日までに23名の予約、当日1名追加となり、合計24名となりました。10:22に一本前の定期列車が出発し、10:30頃には参加者全員の受付が完了。10:32頃より順次ホームへ誘導を行いました。

10:36に列車が入線、天浜線の担当者に挨拶を済ませ、前述の通りテーブル問題を解決するために担当者と共にテーブルを移動させました。予め把握していたので比較的スムーズに移動させることができたかと思いますが、それでも時間がかかり、10:39頃に移動を完了し、順次乗車を開始させました。

これとほぼ同時にサークル位置を示す紙を置きました。この時、いくつかのサークルは紙が抜け落ちており、紙を置くのに時間がかかりました。また、駅弁がテーブル上にセットされていたため、この駅弁を一旦回収するのに時間がかかりました。結果的にサークルが準備する時間があまりないままに発車しました。本来であれば準備時間があと3分以上確保できる見込みでしたが、テーブル問題もありかなり遅くなってしまいました。

往路

往路は新所原から天竜二俣まで、途中の桜が綺麗な駅に停車しながら行くダイヤでした。新所原駅は10:48に出発。準備時間が5~6分しか取れなかったこともあり、この時点で多くのサークルは準備ができていないようでした。天浜線はローカル線ということで揺れが激しく、準備などではご苦労をお掛けすることになってしまいました。

新所原の次は知波田に10:53到着し3分停車。ここでエヴァンゲリオンのラッピング車と交換。その次は尾奈駅に停車。この駅は天浜線屈指の桜が綺麗な駅ということもあり、撮影者が多かったです。ひな壇が組まれているような状況でした。

その次は三ヶ日駅に短時間停車、その次は桜が綺麗な駅で都筑駅に停車。都筑駅の桜はやや葉桜になっていましたが、ホーム上が桜の絨毯のようになっており、それは綺麗でした。その次は西気賀駅でTH2107(花のリレー号)と交換のため停車。

この西気賀駅には大きな桜の木があり、構内踏切付近から撮影するとかなり良い感じの写真になりました(主催は撮り忘れました)。その次は気賀駅に停車。この駅も桜が綺麗な駅で、撮影する方が多く見られました。その次は金指駅に停車。金指駅では特に何もなかったので、このタイミングでヘッドマーク代などの支払いを行いました。その次は都田駅に停車。この駅も桜が綺麗な駅でしたが、列車の到着に合わせたように風が吹き、見事な桜吹雪の演出がありました。これが本当にきれいでした。あまりにも突然だったので写真は撮り忘れました・・・。

しかしこれが見れただけでもさくらトレインを走らせた甲斐がありました。

その次は宮口駅に停車し、TH9200と交換。その次は終点の天竜二俣に到着。到着後は一時解散、各自自由時間となりました。主催の私は駅の窓口にて料金の支払いをしました。また、転車台体験の参加記念品も受け取りました。

天竜二俣駅

この日は天気も良かったため、私は屋外のベンチにて調達していた駅弁を食べました。

天竜二俣駅にはベンチも多く、芝生広場もありますので食べる場所は多数あります。ただし多くは屋根のない場所ですので、雨の日は濡れる可能性があります。参加者によっては「十文字屋(定食屋)」や「本中清(うなぎ屋)」で昼食を食べた方もいらっしゃったようです。12:06に天竜二俣駅に到着し、13:40に転車台体験のため再集合となりました。13:40に集合し、係員さんの案内でホームへ移動、13:50頃に掛川方面から到着する天竜二俣駅止まりの列車に乗り込みます。

この日の転車台体験の車両はTH2109(ゆるキャン△)でした。大人気の車両ということもあり好評でした。これに乗り車両基地内へ入り、洗車機を通過、転車台に乗りほぼ一回転した後、扇形車庫の横で降車し、今度は外から転車台の回転を見ます。

この時のみ、一般のお客さんと同じ場所で見学しました。その後歴史館の見学では、先に一般のお客さんを優先し、一般のお客さんと入れ替わりで歴史館を見学しました。歴史館の見学後は文化財の施設を見ながら、天竜二俣駅へ徒歩で戻りました。

復路

天竜二俣駅に15:00少し前に貸切列車が入線。この時点で参加者の多くは駅舎かその外におり、その後「貸切列車です」のアナウンスがあり各自列車に乗車しました。天竜二俣では社員の方数名のお見送りがあり天竜二俣を15:09に出発。出発前に日本酒と一緒に記念撮影しました。

出発後、すぐに日本酒が空になりました。

復路は交換駅以外には止まりません。天竜二俣の次は宮口に停車。ここでTH2105(PAS号)と交換。

宮口の次は金指に停車。ここでは数分間停車。

金指の次は西気賀駅に停車。ここではTH2104(標準色)と交換。

西気賀の次は三ヶ日に数分間停車。三ヶ日駅発車後に「あと20分ほどで終点ですので、ぼちぼち撤収作業をお願いします」とアナウンス。その後参加各サークルにマイクを回して各サークルのアピールタイムとなりました。

三ヶ日の次は知波田駅に停車。ここでTH2113(カタナ)と交換。知波田駅発車後、最後の挨拶をして締めとなりました。

ほどなくして終点の新所原に到着。各サークルは到着時点でほとんど撤収作業を終えており、3分以内には全員の下車を完了しました。その後車内の忘れ物確認を実施後、運転士と担当者、駅員に挨拶をし、各自解散となりました。

復路はお酒が入ったこともあり、特に2号車(サークル)では飲み会ムードとなりました。しかし往路と同様、同人誌も頻繁に売買されていました。

参加者の皆様のツイート

まとめ

今回は私の思い付きでこういうイベントを開催してみました。年々体力や集中力がなくなり、さらに仕事も忙しくなってきているため、これが最後の花火!というつもりで主催をさせて頂きましたが、想像以上に大好評で、全体的には企画として成功したかなと思います。

ヘッドマークについても結構好評だったかと思います。今回は貸切列車の前後の期間にも取り付けましたが、貸切前の一週間は車両故障などもありゆるキャン△のラッピング車にヘッドマークが付く事態になりました。これは異例中の異例なことで、ゆるキャン△車にヘッドマークが付いたのは恐らく初めてのことかなと思います。それもあり大変注目の的となり、多くの方に写真に撮っていただきました。車両故障と言えば貸切に使用していたTH2101(湘南色)が貸切の1~2週間前に故障して運用を離脱していましたが、なんとか貸切前日の土曜日に試運転を行い復活しました。頭が下がる思いです。

一方、やはり費用面においては大きな課題を残します。詳細な金額は差し控えますが、ヘッドマーク代を差し引いても10万円以上のマイナスとなりました。もちろん利益を上げるためにやっているわけではないのですが、これだけマイナスだと継続的に開催していくのは厳しいです。1両編成であれば十分採算が取れそうですが、2両編成の場合、少なくとも40人程度の参加者が集まらないと継続的に開催していくのは難しいと思います。

今回はイベント発表後にちょっと話題になり、告知ツイートが数百リツイートされたり、ネットメディアの取材を受けたりもしたりもして、それを見てご参加いただいた方も何名かいらっしゃったようですが、それでも参加者が一気に集まるということはありませんでした。原因はいくつか考えられますが、やはりどうしても同人誌即売会にしては割高になってしまいます。コミケと同じかそれよりも高い価格設定にせざるを得ず、それで参加者は20人程度ですから、サークル側からすればとても採算が取れないイベントだったかと思います。これは列車内で即売会をやるにはこのくらいの価格設定になってしまうのはどうしようもないことでした。

今回のイベントでは主に「鉄道、旅行記」のサークルを募集したので、コミケにおける鉄道島のサークルが多く集まるか?と思っていたのですが、実際に鉄道島の常連のサークルは全体の半分以下で、別ジャンルのサークル参加もありました。中には鉄道・旅行系の本を出すのが初めてというサークルもいらっしゃいました。これは予想外でした。もし次回開催するならば、ジャンルを縛る必要はないのかもしれません。もし次回があるならば、ノンジャンルで募集してみるのも手かもしれませんね。

車内の様子ですが、思ったよりかなり同人誌即売会でした。参加者数が少なく、狭くて揺れる車内、いろいろな制約がある中でどうなるか?というのは私もどうなるか想像できていなかったのですが、車内で同人誌とお金が飛び交っており、かなり同人誌即売会でした。ただやはり参加者数24名というのは少し寂しいかなというところです。とにかくイベントのクオリティを上げるためにも、金銭的にも参加者数を増やすというのが最大の課題になってくると思いますが、これが一番難しいところです。

それから日本酒について。私は飲み物を買う一環として地元の日本酒の一升瓶を用意したのですが、なぜか日本酒の撮影会が始まり、帰路はみなさん日本酒を飲んでいました。一升瓶があっという間になくなるほど好評でした。これも予想外でしたね。次やるときも日本酒は必ず用意したいと思います。天浜線ですと宮口駅から歩いてすぐの場所に酒蔵があるので、そこを目的地にするのも1つの手ではないかと思いました。

車内と言えば主に往路の車内ではちょくちょく観光案内を行っていましたが、これは要らなかったかもしれません。用意された移動式のスピーカーは1個しかなかったので2両のうち1両にしか放送を流せませんでしたし、結局のところは私の準備不足でした。本来は案内用の原稿を用意する予定でしたが、結局間に合いませんでした。それよりもマイクを開放して、自由にサークルの宣伝をしてもらった方がよさそうですね。

あとは場所、つまりどこでやるかということも大事かもしれません。まず同人誌即売会をやるにあたり、必要なのは2つ。1つは「同人誌即売会」の許可がもらえるかどうか、そして椅子とテーブルを用意できるかどうかです。最低限、場所の使用許可と椅子・テーブルの準備ができれば同人誌即売会は開催可能です。まずは使用許可ですが、鉄道会社によっては断られてしまうことも考えられます。まずは個人で貸切列車を運転できる会社というのが限られてきます。その上でさらに「同人誌即売会」を行う許可を得るのはなかなか難しいです。天浜線の場合は比較的寛容で、前例もありましたので許可を頂けましたが、他の鉄道会社では許可が下りない可能性もあります。そして椅子とテーブルです。椅子に関してはどの鉄道車両にも座席はあるので問題ないのですが、問題はテーブルです。ほとんどの鉄道車両には大型のテーブルがありません。なので移動式のテーブルを用意する必要があるのですが、これを用意できる鉄道会社も限られてきます。天浜線の場合、車両に設置できる移動式のテーブルがオプションで存在するため、テーブルの用意が可能でした。テーブルのサイズについても横幅はコミケなどで使われる折り畳みテーブルの半分の長さ(=1サークルあたりのスペース)とほぼ同じで、奥行きについても同人誌を並べるには十分な奥行きがありました。こういうテーブルを用意できる鉄道会社はそう多くはないかと思います。そしてもう1つ、やはり立地は大事です。仮に北東北や山陰など、大都市圏から遠い鉄道会社で開催可能であっても、人を集めるハードルはより上がってしまいます。天浜線は関東、関西からはやや遠いものの、中京圏からは近く、比較的好立地と言えると思います。関東近郊などには天浜線より立地が良い鉄道会社がいくつかありますが、前述の理由により同人誌即売会を開けるかどうかは分かりません。以上のことを踏まえると、やはり天浜線以外での開催は非常にハードルが高いなと思いました。

そもそも、同人誌即売会を走る列車内でやる意味とはなんでしょうか、と言ってしまうとこのイベントを根本から否定することになるのですが、結局は「ロマン」ということです。費用的にもスペース的にもありとあらゆる面において普通のホールなどで開催した方が良いのですが、こういう同人誌即売会があっても良いのではないでしょうか。唯一普通の同人誌即売会に勝てる点があるとすれば、同人誌即売会に「観光」を組み入れられるという点だと思います。もし次を開催するとしたら、良さを最大限に生かしつつ、費用面などについても何とかしていきたいと思います。

あと課題としてはやはり運営スタッフの人数はもう少し多くないといけないかもしれません。企画準備は私一人で、当日は2人で運営を行いましたが、あと1~2人くらいいた方が良いかなというのが正直なところです。とはいえ前述の通り金銭的に厳しいので、スタッフを増やすのも結構大変かもしれません。

それからもう一点、参加者と参加者以外を区別する何かが必要です。特に天竜二俣駅での転車台見学→再集合の時には全員集まっているかの確認が不十分になってしまったりしたので、例えば全員に首下げ名札入れを配るなどした方がよかったです。この点も反省です。

それを踏まえてまとめると、「普通に参加したかったイベントだなあ」というのが正直な感想です。銭勘定や主催としての仕事を抜きにすれば本当に楽しいイベントだったかな、と思います。なので今後は誰かが企画してくれるのを待ちます(笑)。とはいえそれはそれで今回より盛り上がってしまったら悔しいかもしれません。とにかくさくらトレインを終えた今、とても複雑な感情です。ですがとりあえず、大きなトラブルもなく多くの方に満足頂けてイベントを終えることができ、良かったなと思います。

撮影された皆様の写真(ギャラリー)

公式アカウントのツイート

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この記事を書いた人

趣味のサークル「進電舎」サークル主です。もともとは鉄道が好きでしたが、そこから貨物列車へ興味を持ち、今では貨物列車の同人誌を執筆しています。この他にもバス、飛行機、競馬、競艇、アマチュア無線、ガジェットなど、「広く浅く」趣味を楽しんでいます。おかげで1日が24時間ではとても足りません。

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