スマホレビュー

LG WING レビュー!【常識を打ち破ったスマホ】

スマホレビュー

皆様こんにちは。京東などでスマホを何台か頼みましたが、いろいろな事情で来ず、いやこれは参ったな・・・と思ったとき、ちょうど中古のLG WINGがいい値段で売られているのを見て、衝動買いしてしまいました。LG WINGは凄いです!一見するとマニア向けの端末に思われますが、これは使い方さえマスターすれば非常に便利な端末だと感じました!

スペック表

SoCQualcomm Snapdragon 765G
重量260g(重い!)
寸法169.5mm×74.5mm×10.9mm
メインディスプレイ6.8インチ(1080×2460) OLED
サブディスプレイ3.9インチ(1080×1240) OLED
メインカメラ64MP S5KGW1 f/1.8 1/1.72
超広角①13MP S5K3M5 f/1.9 1/3.4
超広角②12MP S5K3LA f/2.2 1/2.55
インカメラ32MP S5KGD1 f/1.9 1/2.8
構成8+128GB(韓国版)/8+256GB(アメリカ版)
生体認証指紋認証〇 顔認証×
バッテリー4000mAh
オーロラグレー・イリュージョンスカイ
充電規格QC4.0(?) 13W
対応バンド(4G)B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B20
B28a/B28b/B32/B38/B39/B40/B41
(B18/B19???)
対応バンド(5G)n1/n3/n28a/n28b/n78

LGについて

LGは韓国に本拠地を置く、電子機器などを製造するメーカーです。携帯電話以外にも、モニターや白物家電製品を製造しています。日本にも進出しており、特にモニターは日本でも幅広く使われています。そのほか、日本ではテレビやプロジェクター、オーディオ機器などを販売しています。スマートフォン事業では、特徴的な端末を作ることで知られており、高級なDACチップを積んだり、二画面のスマホを製造してきました。しかし、中国メーカーの台頭などもあり販売不振となり、2021年にスマホ事業から撤退してしまいました。このLG WINGは、もう後継機が絶対に出ないスマホになってしまいました。

開封

今回私が購入したのは、LG WINGのSK Telecomという韓国のキャリア版端末です。RAM8GB+ストレージ128GBの構成となっています。そしてこれが箱です。白くて非常にシンプルな箱です。充電器も付属しており、サイズ面においても標準的な箱になっています。側面にはSK Telecomの「SKT 5GX」という表記もありました。

付属品です。ケース、イヤホン、イヤホンのイヤーピース、EUプラグ充電器、USB-C-Cケーブル、SIMピンと韓国語の説明書が付属しています。標準的な構成ですが、フィルムは初期状態で付いていないようです。

純正ケースです。下の部分がザラザラになっており、滑り止め効果があるのと同時に触り心地がなかなか良いです。ただ本体の構造上、側面は半分程度しかカバーできておらず、ちょっと不安です。

付属のケーブルは両端がUSB-Cのケーブルです。本体は13W給電に対応しています。急速充電の規格はQC4.0と思われます。

端末の外観

メインディスプレイは6.8インチの大型ディスプレイを採用。エッジディスプレイです。個人的には少し大きすぎますし、エッジの角度も割と急で、あまり良いと思いませんでした。

これがLG WINGの最大のウリである「変形」です。やみつきになります。無意味に何度もやりたくなってしまいますね。

メインディスプレイをスライドするとこんな感じです。昔、ワンセグ搭載のガラケーで画面が90度回転するものがありましたが、若干それを髣髴とさせますね。

上画面と下画面ではそれぞれ別のアプリも起動できますし、このLG WINGに対応しているアプリなら両方の画面を使うこともできます。残念ながらLG WINGに対応したアプリは少ないですが、YouTubeは対応しており、上画面で動画を再生しながら、下画面で音量や一時停止などのコントロールが可能になっています。スクリーンショットは最後に触った方の画面がスクショされます。ただし、画面を展開したとき、ちょうどこの横になったディスプレイの真下に音量ボタンと電源ボタンが位置しており、とてもスクショや音量調整がやりにくいです。この点は改善が必要だと感じました。この展開したときのメインディスプレイがない位置に音量・電源ボタンを配置すべきではないかと思いました。

背面です。黒色は背面がツルツルの鏡面になっています。めちゃくちゃ反射します。カメラ周りはレンズが飛び出ている構造になっています。カメラ周りの形状は最近のスマホでよく見るものになっています。

ディスプレイを展開したときの背面です。このメインディスプレイの部分は結構薄いんです。この状態で落としたら助からないですね(笑)。このメインディスプレイの背面は、純正ケースとよく似た触り心地で、ややザラザラしているプラスチックのような感じです。

本体上部です。ポップアップカメラが搭載されています。

可動式メインディスプレイと並んで、このスマホの超変態ギミックであるポップアップカメラ。他のメーカー(ASUSなど)でも採用端末がありますが、数は非常に少ないです。こちらは内部の加速度センサーで落下を検知すると自動的に格納されるため、この状態で落ちても大丈夫そうです。意外と素早く出入りしますね。ちなみに、インカメは32MPのS5KGD1を採用しています。インカメにしては比較的大きめのセンサーを搭載しています。

端末下側です。見ての通り、ディスプレイ面は意外と薄く、厚さも普通のスマホよりちょっとだけ厚いかな?という感覚です。そして見ての通りモノラルスピーカーとなっています。スピーカーの音質はやはり良くないです。

端末左側面です。ここにSIMトレーがあります。これまで使ってきたスマホはいずれも端末下部にSIMトレーがあったので、少し新鮮です。

SIMトレーです。なかなか変わった形をしています。今時珍しいマイクロSDカード対応となっています。そしてSIMカードはシングルSIMとなっています。キャリア版なのでねー。キャリア端末だと仕様が劣化するのは日本も韓国も同じみたいです。

端末右側面です。ここに音量ボタンと電源ボタンが配置されています。ここは他のスマホと同じなのですが、これにはちょっと問題が・・・。

二画面にすると、この展開したディスプレイがちょうど電源・音量ボタンと干渉し、とても押し辛いです。この状態でロックすることは基本的にないでしょうし、音量調整もコントロールパネルなどからできるのでそれはいいんですが、スクショが・・・。例えば上画面でYouTubeなどの生中継を見ながら、それをスクショして下画面でツイートできれば便利なのですがねー・・・。コントロールパネルからもスクショができますが、下画面のコントロールパネルだと下画面がスクショされてしまいますので、一旦再生を止めることになりますが、上画面でコントロールパネルを出す必要があります。

使用感

まず、重さから。私はメイン機で重量級のMi11 Ultraを愛用しているということもあり、めちゃくちゃ重いという風には思いませんでしたが、やっぱり明らかにMi11 Ultraよりも重いです。恐らく200g以下の端末を愛用している人なら、もっと重さを感じるかもしれません。逆に厚さは全然気にならないと思います。実際、他の端末よりやや厚いのですが、可動式画面ということを考えれば十分に薄いです。実際、他の端末と比較しても厚さは+1mm~+2mm程度になっています。

AnTuTuベンチマークスコア

AnTuTuスコアは約39万点でした。フラッグシップに比べれば半分程度の数字ですが、原神など、重いゲームをしないのであれば十分だと思います。意外とサクサク動きます。

UIについて

OSはカスタムOSではなく、ピュアAndroidに近いものになっています。基本的な使い勝手は良好で、あまり悪いと感じる点はありませんでした。しかし、二画面回りのUIは改善の余地があると思います。まず、二画面にすると初期状態では非対応のアプリは表示されません。設定→セカンドスクリーンアプリから、表示したいアプリを選択しないと、二画面の時に使えないです。ちょっと面倒です。それから、これは前述しましたが、二画面にしたときに音量ボタンが押しにくく、スクリーンショットがとてもやりにくいのですが、下画面のスクショボタンで上の画面のスクショができないです。うーん。

あとは指紋認証の精度が悪いなと感じます。また、顔認証は搭載されていません。まあミドルレンジの指紋認証の精度なんてこんなもんかもしれませんが・・・。とにかく正常に認識されないことも多いですし、正常に認識されていても1秒近くタイムラグがあります。水に濡れていたりすると認識精度ほぼ0%です。あと、画面を展開してから指紋認証をしようとすると、上画面の左側に指を当てなければならず、ちょっと厳しいです。これは構造上仕方がないことではありますが。

それから、画面を展開時に上画面で文字を入力しようとすると、キーボードがとても細長くなってしまいます。LG WINGは他のスマホより縦が長いので、なおさら入力しにくいです。下画面にキーボードを表示できればいいのですが・・・。正直、文字を入力するたびに画面を元に戻さなければならないのでかなり面倒です。

バッテリー持ち

バッテリーは4000mAhで、SoCを考えれば十分な容量ですが、二画面にすると当然電力消費が多くなります。基本的に一画面で運用すれば1日は余裕で持ちますが、頻繁に二画面にしていると1日持つかどうか怪しいです。そういったことを加味すると、電池持ちはどちらかというと悪い部類に入ると思います。

日本で使えるかどうか

まず、悲しいお知らせとしてはVoLTEには非対応です。OSはピュアAndroidに近いものですが、恐らく簡単にはVoLTE開放はできないのではないかと思われます。しかし、インターネット通信の方は安定的につながります。APNを入れれば、LTE Onlyにしたりする必要もなく、安定的に4Gが使えます。5Gは未検証ですが多分使えません。

そして公式の対応バンドには、au/docomoのプラチナバンドであるBand18/19には非対応ということになっていますが、実際には少なくともBand19には接続できることを確認しました。恐らくBand18と19はセットで対応することが多いので18にも対応しているかと思います。通話は不可ですが、通信だけなら安定的に使えます。

カメラ

LG WINGのカメラは、構成もなかなか独特です。

カメラ画素数センサー名センサーサイズf値
メインカメラ64MPS5KGW11/1.72f/1.8
超広角113MPS5K3M51/3.4f/1.9
超広角212MPS5K3LA1/2.55f/2.2
インカメラ32MPS5KGD11/2.8f/1.9

センサー名は公式発表はありませんが、Device info HWから抜き出しています。なんと全眼がSamsung製のセンサーとなっています。全てSONY製の端末はHuaweiなどで見かけられるのですが、実はすべてSamsung製のセンサーという端末は結構珍しいです。2022年の自社フラッグシップであるS22 Ultraですら4眼中3眼がSONY製になっています。S21 UltraでもSONY製のセンサーが使われています。

さて、超広角が2つあるのが極めて珍しいのですが、これは「縦画面でも横画面でも撮れる」ためにこうなっているのだと推測します。イメージセンサーというのは正方形ではなく長方形です。そのため、スマホを横向きにして撮影すれば横長の画像に、縦向きにして撮影すれば縦長の画像になるのが普通です。しかしWINGでは、画面を90度回転して撮影することもできるのですが、この状態で撮影するとメイン画面は横向きなのに縦長の画像が出力されてしまいます。メインディスプレイを展開してもしなくても横長の画像を出力するためには2つのイメージセンサーを違う方向に配置する必要があり、結局超広角が2つになったと推測します。

ここからは作例を載せていきます。カメラフラッグシップではないので、細かい説明は省略します。

まずはいきなり低照度から。やはりノイズがすごいですね・・・。カメラフラッグシップではなく、センサーサイズも小さいので当然と言えます。ただ、7秒間マルチフレーム合成をして手ブレしなかったりと、ソフト面は決して弱いとは言えないと思います。

色味ですが、中国メーカーより色味が弱めです。そして、全体的に暖色系が少し強めに出る傾向があるかなと感じました。

ズーム比較です。1x→3x→5x→10xです。望遠レンズはないのでこんなもんでしょうか。5xくらいまでは使い物になりそうです。

ポートレートモードです。このポートレートモード、実に多機能で、さまざまなエフェクトを付けることができます。また、SNOWみたいな顔を加工する機能が標準で搭載されていたりします。

また、こんな感じで背景をアニメ風に加工するようなエフェクトも用意されています。このほかにも何種類か用意されています。

超広角です。色味はなかなか良いと思うんですが、やはり解像度が足りませんね。

HDR機能も搭載されています。ただやはりフラッグシップ級と比べると物足りないですが・・・。

ちょっとこれは困惑しました。マニュアルモードが搭載されており、最大で20秒までシャッター速度を遅くできるので、星撮れるんじゃね。まあ無理だろうけど。と思って適当に撮ったらなんかなんか、あれ?これそこらへんのフラッグシップ並みの写真撮れちゃったんじゃね・・・。という感じです。ISO感度を結構上げていますが、そこまで気にならないレベルですし、これだけ星が写っているのはかなり凄いです。センサーサイズは決して大きくないのですが・・・。なぜ撮れるのか、不思議!

全く同じ条件で撮影した、Mi11 Ultraとの比較です。マニュアルモード、SS20秒、ISO800で撮影。色味の違いはあるものの、写っている星の数などはほぼ同じで、大きな違いはありません。センサーサイズは全然違うのですが、ここまで健闘するとは思いませんでした。

カメラUIです。これは使いやすいと思いました。特にマニュアルモードの使いやすさはなかなかです。また、マニュアル動画モードやタイムラプス機能など、意外と多機能です。特にマニュアル動画モードというのは初めて見ました。さすが動画に特化したスマホだなという感じです。

動画

まずはジンバルモードから。画面を展開するとジンバルモードが使えます。これの特徴は何といっても強力な手振れ補正。本当に強力な手振れ補正が搭載されています。下の画面でいろいろ操作できますが、まず「FPV」のボタンは標準的なモードで、歩きながら撮影するときに便利です。「PF」と「P」はよく違いが分からなかったのですが、縦方向への手振れ補正がより強化されている感じです。そしてその右側の十字のキーをグリグリすることにより、自分が動かなくともカメラの方向をやや変えることが可能です。正直自分が動いた方が早いんですけどね。右の再読み込みマークのようなものは位置を中央に戻す時に押すボタンで、フォローモードやロックなどで、クロップ位置が大きくズレてしまったときに使います。そして一番右のボタンがロックボタンで、押しっぱなしにすることにより機能します。スマホを多少動かしても、押した状態の画角をできるだけ保持します。

このジンバルモード、最初は光学的手ブレ補正でやっていると思ったのですが、使ううちにこれは光学手ブレ補正ではなく、ただクロップしただけでは?と思うようになりました。普通のカメラはイメージセンサーで写る範囲のほぼ全体を記録しますが、このジンバルモードでは全体の一部をクロップし、そのクロップ範囲を滑らかに動かすことにより、強力な手振れ補正を実現しているのではないかと思われます。補助的に光学的な手振れ補正を併用している可能性もありますが、あくまでも補助的です。その証拠に、ジンバルモードでは1080pでしか記録できず、4Kには対応していません。超広角は12MP、13MPで4Kを記録できる画素数ではありますが、4Kで記録できないのはクロップをしているからだと思います。少しでも暗い場所だとノイズがひどく、明るい場所でも解像度が低いため、なかなか実用的ではないです。もし同じようにクロップしたいならば、メインカメラと同等の1/2インチを超えるセンサーサイズは最低限必要でしょう。ちなみにvivoのジンバル手振れ補正は本当に物理的な光学手ブレ補正を搭載しています。

また、WINGのメインカメラは光学手ブレ補正(OIS)を搭載していますが、これがなかなか強力です。少なくともMi11 UltraやX70 Pro+といった名だたるフラッグシップに並ぶ手振れ補正ではないか?と思いました。それくらい強いです。ぶっちゃけジンバルモードとか全くいらないです。どうせ1080pでしか記録できないですし。もちろんメインカメラは4K記録できます。4K60fpsまでいけます。

まとめ・・・これはマニア向けではない

LG WING、一見すればその独特な形から、マニア向けのスマホと思われがちですが、実際のところは真逆で、TikTokやVlogをやっているような人向けのスマホではないか?と思いました。この二画面は本当に便利で、YouTubeなどの中継を見ながらTwitterで実況するような使い方もできますし、動画を見ながら別の調べ事もできますし、攻略ページを見ながらゲームをしたり、かなり使い道はあります。

良い点

・なんだかんだ言っても二画面は便利!!

・理由はよくわからないけど星空が撮れる(なんで?)

・メインカメラの性能はなかなか良い

・フォルダブルなど他の二画面スマホより安い

・パンチホールやノッチがないディスプレイ

・意外と薄い

悪い点

・SoC性能が足らない(Snapdragon865なら良かった・・・)

・動画のジンバルモードは画質が悪い

・画面の展開時にスクリーンショットがしにくい

・痒いところに手が届かない二画面関係のUI

・スピーカーの音質が悪い

・LG端末なのに良いDACを搭載していない

・重い

・指紋認証の精度が悪く、顔認証がない

・VoLTE不可

・画面を展開時に文字の入力が難しい

まとめると、全体的にはそれなりに満足していますが、二画面にしたときの操作方法がやりにくかったり、使い物にならないジンバルモード、なぜかLG端末なのに載せなかったDACなど、値段との兼ね合いということもあるのでしょうけれども、「あとちょっと」というところに手が届かない!そういった端末でした。特に目玉機能であるジンバルモードは、ただでさえ画素数が小さく性能が悪いイメージセンサーをクロップしており、恐ろしいほどダメです。特に少しでも暗い場所では、実用レベルではありません。こういったところをフィードバックした後継機が出れば良かったのですが、残念ながらLGはすでにスマホ事業から撤退してしまったのが悔やまれます。ただ、今は中古市場で美品が5万円以下で取引されており、付属品なしだと3万円台で買えてしまうので、決して買って損はない端末かなと思います。「マニア向け」とさんざん言われていますが、むしろマニア受けする要素は実はほとんどありません。ペリスコープもないしイメージセンサーもすべて汎用センサー、SoCもミドルレンジのスマホによく使われているセンサーです。画面が変形するのとポップアップカメラ以外には特段マニア心をくすぐる機能もありません。逆に多彩な動画撮影モードやエフェクトなどがあり、なおかつインカメもかなり強力です。TikTokなどをしている層にこそ届いて欲しいスマホです。

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