Huawei Pura 70 Ultraレビュー!【帰ってきたHuawei】

目次

Pura70 Ultraのスペック

製品番号HBP-AL00(大陸版)
SoCKirin 9010
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TaiShan V121(2.3GHz)×2
TaiShan V121(2.18GHz)×6
Cortex-A510(1.55GHz)×1
重量226g
寸法162.6×75.1×8.4 (mm)
ディスプレイ6.8インチ AMOLED
リフレッシュレート最大120Hz
メインカメラIMX989y(RYYB) 50MP f/1.6 1インチ OIS
f/1.6-f/4.0 可変絞り 22.5mm
超広角カメラ40MP f/2.2 13mm
OV40A(1/1.7)と思われるが詳細不明
望遠カメラ50MP f/2.1 90mm 3.5x OIS 
約5cmテレマクロ対応
インカメラ13MP f/2.4
構成・定価【中国大陸版】
16+512GB CNY9999
16+1TB CNY10999
生体認証指紋認証〇 顔認証〇
バッテリー容量5300mAh
黑色、白色龙晶蓝、钛金属(チタニウム)特别版
充電規格有線最大100W・無線最大80W
防塵防滴IP68
OSHarmonyOS 4.2

開封

外箱です。紙なのですが本体と同じような模様が入った箱で、非常に手触りの良い仕上げとなっています。箱はスマホの箱としては大きめです。

箱の外側の厚紙を取るとようやく箱です。こちらも手触りが良く、高級感のある箱となっています。

箱を開けると本体があります。

本体の下に充電器、ケーブルと付属品の入った箱が入っています。充電器とケーブルはHuawei独自規格の急速充電に対応しています。

付属品一覧です。ケース、充電器、充電ケーブル、説明書、SIMピンが付属しています。箱は大きいですが中身は標準的な付属品となっています。

付属ケースは付属ケースらしからぬ派手で前衛的なデザインとなっています。最近のハイエンドスマホでもここまでデザインが凝っているケースはあまりないのでこれはいいですね。

外観

背面です。模様入りの疑似レザーです。個人的な意見ですが、これまで触ってきたスマホの中で一番高級感があると思いました。

ディスプレイは4辺カーブディスプレイです。かつてのような鋭いエッジディスプレイではなくなり、平面にかなり近くなりましたが、4辺がカーブしているのでフィルムが貼りにくいのが難点です。また、指紋センサーの位置は低い場所にあるほどコストが抑えられるようで、ミドルレンジ以下だとこれくらいが普通なのですが、20万円ほどするフラッグシップモデルでコレはちょっと、いやかなりいただけません。恐らく指紋センサーもアメリカの規制で入手できなかったのかもしれませんが、ちょっとこれは・・・。また、指紋認証の精度もフラッグシップ機にしてはかなり悪い部類だと思います。指紋認証に関してはかなり不満です。

端末上部です。カメラの出っ張り部分に水色のラインが入っています。上部に空いている穴は2つのみですが、ステレオスピーカーで上からも音が出ています。

端末下部です。スピーカーとUSB Type-Cコネクタ、SIMトレイがあります。

端末左側面です。特に何もありません。

端末右側面です。電源ボタンと音量ボタンがあります。

使用感

AnTuTuベンチマークスコア

AnTuTu(V10)のスコアは100万弱でした。同世代のハイエンドSoCであるSnapdragon8 Gen3やD9300はおよそ200万点なので、その半分ほどの数字です。Snapdragon7+ Gen2やD8200がおよそ100万点程度なので、SoCの性能自体はハイエンドというよりミドルレンジ並みです。

日常動作(ブラウジングなど)においても、Snapdragon8 Gen3を搭載している端末と比較するとモッサリ感は否めません。また、ゲームなどをするとより顕著にモッサリ感を感じます。残念ながらやはりSnapdragonやDimensityを搭載するフラッグシップに比べれば劣るなというのが正直な印象です。

発熱は他のフラッグシップとそれほど変わらない印象を受けます。電池持ちに関してはやや悪いと感じます。1日ゲームやカメラを使うとあっという間に電池が減っていく感じです。

GMS

Huawei端末なのでGMSがありません。GMSがないとYouTubeやChromeなど、Google系のアプリはほとんど機能しなくなってしまいます。導入方法はいくつかあるのですが、その中で最も簡易的なものを紹介します。

まず公式アプリストア(Appgallery)の地域設定を日本から中国に変更します。そして検索で「MicroG」と検索します。すると「MicroG Service」と「MicroG Companion」が出てきますので、両方インストールします。インストール後、MicroG Serviceを開き、アカウント→アカウントの追加をすれば設定完了です。これでYoutubeなどGoogle系サービスのアプリは最低限動作します。

カメラ

メインカメラは1インチ(1/0.98インチ)のIMX989 RYYBが搭載されています。最新鋭のLYT-900ではありませんが、RYYBにすることにより低照度性能が向上しています。

望遠、超広角のイメージセンサーは不明ですが、望遠は50MP、f/2.1、約3.5倍(90mm)で、被写体距離約5cmのテレマクロに対応しています。超広角は40MP、f/2.2となっています。

これがPura70 Ultraのメインカメラに搭載された沈胴式カメラです。カメラを起動するとカメラの部分だけがせり出してきます。駆動音は意外と大きく、静かな場所だとはっきりと「ヒュイッ」という音が聞こえます。カメラアプリを終了すると自動的にもとに戻ります。

カメラUI

基本的なカメラUIです。

動画撮影モードのUIです。最高記録画質は4K60fpsです。8Kは撮れません。4K60fps時のレンズ切り替えには対応しています。

マニュアル(プロ)モードのUIです。

撮影モード一覧です。Huawei独自の撮影モードといえば「アパーチャ」でしょうか。これはかなり前からHuawei端末にはある機能で、ポートレートの物撮り版となります。

「ストリートクリエイター」は最近流行りの映画のような動画が撮れるモードとなっています。

カメラアプリの設定画面です。比較的項目は少なめです。特筆すべきは「画像強化」でしょうか。通常ですと12.5MPで記録されるところを25MPで記録するモードのようです。恐らくピクセルシフト技術を活用したものと思われます。

アルバムアプリのAI機能

Pura70 UltraのアルバムアプリのAIは本当に凄いです。左の写真の建物を消しゴムマジックのような機能で消すと右になります。拡大してもほとんど違和感がありません。

こちらも同じように消してみましたが、こちらの方が凄いです。拡大しても全く違和感がありません。反射などもほぼ完璧に消していますし、椅子や机の模様も完璧です。

どの端末でもできるんじゃないの?と思われそうですが、vivo X100 Ultraでやってみると上のようになり、綺麗に消すことができませんでした。やはりHuaweiのAI技術はすごいですね。

さらに、Pura70UのAI補正には「写真の拡張機能」が搭載されています。一見すると2枚目を1枚目にトリミングしているように見えますが、実際は1枚目の写真を拡張して2枚目の画像が出力されています。2枚目の右側はAI生成による部分ですが、本当に違和感がなく、ほとんどの人はAIだと気づかないでしょう。ただしこの機能は画像サイズが大きいとネットワークエラーになってしまうのでそこが問題ですね。

比較作例

ここからはvivo X100 Ultraとの比較作例を載せていきます。ウォーターマークの無い写真がX100 Ultraの写真になります。

広角+夜景

やはりPura70Uの写真はいかにもRYYBという黄色っぽい写真です。好き嫌いが分かれそうですが、色の再現度としては通常のカラーフィルターの方が良さそうな気がしますね。

望遠+夜景

望遠はRYYBではないので普通の色味です。Pura70Uはかなり明るく撮れていていいのですが、レンズフレア・ゴーストが気になります。

超低照度

低照度最強だと思っているX100Uと互角の勝負をしています。拡大して10分くらい見ていましたがどちらが勝っているとも言えない大接戦です。これだけ暗い場所だとRYYBでもそれほど黄色さを感じませんね。シャッタースピードはvivoが1/4なのに対しPura70Uは3sとなっているのが大きな違いでしょうか。

望遠(30x)

望遠(50x)

望遠の解像度に関しては圧倒的にX100 Ultraの方が優位です。Pura70Uの望遠のセンサーは不明ですが、X100 Ultraの1/1.4インチ 200MPに比べれば小さいセンサーを搭載していることは明らかで、恐らく1/2.5や1/2.7インチ程度のセンサーではないかと思われます。かつてP50 Proでは望遠の解像度が覇権クラスだったのですが、今やOPPO、vivo、Xiaomiに大きく水を開けられている印象です。

テレマクロ最短撮影距離

テレマクロは圧倒的にPura70 Ultraの方が寄れます。

センサーサイズが小さいほど最短撮影距離は短くできるのですが、前述の通りX100 Ultraは1/1.4インチ級、そしてPura70 Ultraは1/2.5以下であろうと推測されるので、この点は当然と言えると思います。

スナップショット機能

スナップショット機能はソフトウエアによる強力な手ブレ補正ができる機能で、どちらの端末にも搭載されています。写真は約80km/h~100km/hで夜走る列車から撮影したものです。場所は異なりますが速度は同程度です。

スナップショット機能はX100Uの方が強そうです。Pura70Uは発表会でこの機能を1つのウリにしていたので、これほどの差がつくとは思いませんでした。

HDR比較 その1

HDR比較 その2

HDRはX100 Ultraの方が強い気がしますが、Pura70Uも悪くありません。Pura70Uには可変絞りがあるので、光源がある時は絞り羽による光条が発生していい感じです。

ポートレート・アパーチャ

Pura70Uはアパーチャ、X100Uはポートレートモードで撮影。いずれもソフトウェアにより人工的にボケを生成する機能ですが、色味の違いはあるもののそれほど変わりません。

まとめ – 尖りすぎている玄人向けスマホ

良い点

・最強のテレマクロ性能

・最強のAI性能

・最強クラスの低照度性能

・沈胴式+可変絞り搭載カメラ

・所有感はすごく高い(非科学的な感想)

悪い点

・2024年のハイエンド端末としては明らかに低いSoC性能

・バッテリー持ちはあまり良くない

・値段が高い

・GMSなし

・指紋センサーの位置が低すぎ&精度が低い

前代モデル(P60 Pro)も使いましたが、それと比較してカメラ性能とAI性能の向上を本当に感じます。メインカメラは前の1/1.5インチから1インチに大幅サイズアップ。さらに沈胴式と可変絞りという2つのギミックを搭載しており、メインカメラの性能はまさに覇権クラスと言ってよいでしょう。ソフト面には昔から定評があるHuaweiだけに、ハードウェアが最強ならば間違いなく強いということです。それから、沈胴式カメラの採用によりカメラ部分の出っ張りが薄く、フラッグシップとしてはコンパクトに纏まっている点が良いと思いました。今のフラッグシップはやはりどうしてもカメラの出っ張りが大きくなってしまいますが、それをできるだけ小さくしたという点は高く評価できます。

特に強いと感じる点は可変絞りですね。1インチと可変絞りの組み合わせは現状Pura70 UltraとXiaomi13 Ultra、14 Ultraしかありません。その中でもPura70 Ultraはメインカメラユニットを沈胴式にすることによりカメラ周りの出っ張りを抑えていると感じます。メインカメラはRYYBの1インチセンサーを搭載しており、低照度性能はvivoと並んでトップクラスにあることは間違いありません。さらにPura70 Ultraにはvivoと異なり可変絞りがありますから、メインカメラの性能だけ見ればまさしく「最強」と言って差し支えないと思います。このメインカメラだけでもこの端末を買った価値があるというものです。それから最新のAI機能。AIスマホとアピールするGoogle Pixelより強いのではないかと思います。例えばいわゆる「消しゴムマジック」では、他社と比較しても明らかに綺麗に物体を消去することができます。ただまだシステムとして未熟なところもあるので、そこが課題ですね。

逆にPura70 Ultraの弱いところも多くあります。まず何といってもSoC。半導体の輸出規制によりクアルコムやメディアテック製のSoCを満足に仕入れることができないHuaweiですが、それでも5G対応のSoCを作りたいHuaweiは中国国内で設計・開発・製造をすることによりこの規制をクリアしました。しかし性能に関してはSnapdragonやDimensityのハイエンド向けSoCと比較するとどうしても弱いです。AnTuTuの数字はSnapdragon8 Gen3のおよそ半分。実際に使っていても、ブラウジングなどでももっさり感を感じることがあります。さらに電池持ちもあまり良いとは言えません。

それから、カメラにも弱いところがあります。望遠と超広角です。メインカメラはまさに最強クラスなのは言うまでもありませんが、望遠と超広角ははっきり言って他社のフラッグシップに比べると見劣りします。特に望遠は最近各社が力を入れている分野なので、なぜHuaweiがここを疎かにするのか理解できません。確かにテレマクロは強いのですが、解像度が本当に良くないなと感じます。センサー名やセンサーサイズなどは公表されていないものの、映りを見るに少なくとも1/2.5インチ以下のセンサーではないかと思われます。P50 Pro(OV64B)の望遠は本当に最強で評価が高かったのですが・・・とても残念です。それから、最強クラスと言った広角も全く問題がないかと言うとそんなことはありません。やはりカラーフィルターがRYYBなので、RYYB端末の持病とも言える色再現度の低さを感じます。特に夜景や食べ物は他社の端末に比べて明らかに黄色く、これが嫌いだという人は相当多そうです。私は最初に手にしたAndroid端末がHuaweiでしたので慣れていますが、Huawei端末が初めての人だと「なんで黄色いの!?」と驚くかもしれません。

今後の展開ですが、可変絞りを搭載するもう1つのメーカー、Xiaomiは2024年発売予定のXiaomi15 Ultraでは可変絞りを止めるという情報がありました。一方Huaweiはカメラフラッグシップ以外の折り畳みスマホにも可変絞りを搭載していますし、来年以降も可変絞りが搭載される可能性が高いと思っています。これにより来年、可変絞りを載せるメーカーはHuaweiしか残らないかもしれませんね。他のメーカーが載せるなら話は変わりますが・・・。それからカメラ以外だと、2024年10月にHarmonyOS Nextが発表され、順次既存の端末にもアップデートで配信される予定となっています。Nextは消費電力の低減やHarmonyOSを搭載する端末同士の接続性向上などが謳われていますが、Androidアプリのサポートが終了し、アップデートするとAndroidアプリは完全に使えなくなってしまいます。中国国内なら良いのかもしれませんが、日本を含むグローバル市場にある多くのアプリはHarmonyOS Nextに対応していないため、少なくとも今後大陸版のHuaweiは日常での使用が絶望的に難しくなることが想定されます。良い端末なだけに惜しいですね。今後Huawei端末を購入する際は注意が必要です。

まとめると最強の部分はあるものの、弱い部分もある、凹凸がはっきりした端末だなと感じました。強い部分は本当に覇権クラスなのですが、一方でどうしても弱い部分、しかも重要な部分が弱いという欠点があります。万人にオススメできるスマホでは到底ないのですが、それでも「これは良いぞ!」と感じさせる、コレがHuaweiです。この端末もまさにそれで、所有感、質感はどんなスマホも勝てないだろうと思います。唯一勝てるとするならば同社のMate XTくらいでしょうか。そんな端末です。

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この記事を書いた人

趣味のサークル「進電舎」サークル主です。もともとは鉄道が好きでしたが、そこから貨物列車へ興味を持ち、今では貨物列車の同人誌を執筆しています。この他にもバス、飛行機、競馬、競艇、アマチュア無線、ガジェットなど、「広く浅く」趣味を楽しんでいます。おかげで1日が24時間ではとても足りません。

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