2021年3月に発売されたXiaomiのフラッグシップスマホ「Mi11 Ultra」と、2021年8月に発売されたHONORのフラッグシップ「HONOR Magic 3 Pro+」どちらも最強のカメラを備えた凄いスマホです。この2機種を手に入れましたので、早速カメラを撮り比べてみました!
進電舎流、カメラベンチマークの心得
当ブログのカメラ比較は、某Dなんちゃらマークみたいな生易しいものではなく、真っ暗な場所など撮影するのにカメラの技術力が問われる場所の比較が中心です。また、色味については基本的に評価の項目に入れません。後で修正すればいい話ですからね。特に重視するのは写真の黒潰れ、白飛び、そして手振れ、ピンボケです。これらは後で修正ができないので、後で撮った写真を見てガッカリ・・・!!なんてことになりたくないですよね。だからとにかく、「後で修正できない項目」については厳しく採点しています。
今回比較する端末のプロフィール
HONOR Magic 3 Pro+
ファーウェイから2020年に分離した、HONOR(ホナー)のフラッグシップスマートフォンです。メインカメラに50MPのIMX700を搭載し、さらに超広角、望遠、モノクロの3つのカメラにそれぞれ64MPのOV64Bを搭載しています。ハードウェアだけで見ると恐らく現時点で世界最高水準のスマホカメラと思われます。
カメラ | イメージセンサー | その他 |
メイン | 50MP(IMX700 RGGB 1/1.28) | f/1.9 |
超広角・マクロ | 64MP(OV64B 1/2) | f/2.4 |
モノクロ | 64MP(OV64B 1/2) | f/1.8 |
望遠 | 64MP(OV64B 1/2) | f/3.4 光学3.5x |
Xiaomi Mi 11 Ultra
Xiaomiが2021年3月に発売したフラッグシップスマホです。メインカメラにはSamsungの大型センサーであるGN2を搭載。さらに5x光学ペリスコープ望遠には48MPのIMX586、超広角にもIMX586を搭載。発売後も定期的にカメラのアップデートが実施されるなど、Xiaomiも相当この機種に力を入れているようです。
カメラ | イメージセンサー | その他 |
メイン | 50MP(GN2 1/1.12) | f/1.95 |
超広角・マクロ | 48MP(IMX586 1/2) | f/2.2 |
望遠 | 48MP(IMX586 1/2) | f/2.4 |
それでは比較していきます!
低照度①広角
いきなりスマホカメラの真価が問われる低照度から。どちらもあまり良い結果ではありませんが、どちらかといえばMi11 Ultraですね。補正してみるとわかりますが、Magic3は黒い部分の大部分が黒潰れしており、ほかの場所も色がほとんど出ていません。低照度についてはMi11 Ultraの方が性能が高そうです。
どう考えてもMi11 Ultraが良いですね。Mi11 Ultraもフラッグシップの中ではそこまで低照度に強い方ではありませんが、それに全く及ばないって何を考えているんでしょうか。Magic3はノイズまみれでディティールが潰れまくりです。1xでの撮影ですが水墨画状態です。
低照度②超広角
低照度③望遠
倍率が微妙に違います。というのも、いずれの機種も被写体が暗すぎると望遠カメラに切り替わらないんですよね。そもそも望遠カメラの倍率が異なっており、Magic3は3.5x、Mi11 Ultraは5.0倍で切り替わります。それもあってか、3.5xのMagic3の方が明るく撮れていますね。f値はMi11 Ultraの方が低いのですが・・・。
望遠①飛行機
恐らく世の中にある被写体の中でもかなり撮影難易度が高い、飛んでいる小型飛行機での比較です。天気は曇りで、同時には撮影できないため微妙に撮影したタイミングが違います。Magic3はちょっとノイジーな感じが強いです。また、輪郭がぼんやりしています。反対にMi11 Ultraはちょっと輪郭を強調しすぎている感じがありますが、ノイジーな感じもなくとてもきれいな写真です。ですが!Mi11 Ultraはシャッターボタンを押してから実際にシャッターが切れるまで0.5秒ほどの大きなラグがあります。これはMi11 Ultraに限らずすべてのXiaomi端末にあるようですが、このラグは動いているものを撮影するにあたっては致命的なラグですね。列車や飛行機はもちろん、ネコや犬といった動物など、とにかく動いている物の撮影においてはかなり痛いです。なんとかしてほしいものですね。
望遠②近距離望遠&ちょっと暗め
近距離かつ比較的暗い場所です。いずれも5xでの撮影です。やはりMagic3 Pro+は拡大してみるとノイズがすごいんですよね。EXIFデータを解析すると、Magic3はISO9008、ISO5064と、やはりf値が低い分、Mi11 Ultraの方が低いISO感度で撮影できているようです。ただMi11 Ultraは、ライトの部分が白飛びしており、色味が若干不自然なようにも感じますのでここは引き分けですかね・・・。
望遠③近距離望遠&ボケ感
ここではそんなに大きな差はないように思えます。ただやはりMagic3は光源部分が白飛びしているように見えますね。あとMagic3の方が全体的に暖色系の写真になっています。
望遠④30xで木
まず結構色味が違いますね。Mi11 Ultraの方が明るめですが、Magic3Pro+の方が自然な色合いに感じます。また、Mi11 Ultraは結構な塗り絵感がある一方、Magic3は比較的ディティールがくっきりしています。ただしMagic3は若干ノイズが多いような気がします。
望遠⑤HDRテスト
いずれも5xズームです。どちらもオートで撮影していますが、Magic3は手前の被写体に、Mi11Ultraは奥の空の明るさに合っています。やはりMagic3の方が被写体の明るさに合っているため綺麗に見えますが、おそらくMi11 Ultraでも手動で明るさを合わせれば同じようになるかと思います。
望遠⑥望遠+暗所+HDR
いずれも5x。Magic3はちょっとうーん・・・?って感じですね。なんか全体的にボケている感じがするんですが・・・。ISO感度はMi11 Ultraが853、Magic3は2585となっているので、そこの違いでしょうか?とにかくMagic3は暗所などでノイズが発生しがちです。
低倍率望遠比較・2x→3x→4x
前述の通り、Magic3は3.5xで、Mi11 Ultraは5xで望遠カメラに切り替わります。どちらもデジタルズームの品質はかなり優秀ですが、強いて言えばMagic3の望遠に切り替わる直前である3xは、拡大するとちょっとデジタルズーム感が強いです。逆にMi11 Ultraは望遠に切り替わる直前の4xでもあまりデジタルズーム感がないです。また、Magic3の望遠に切り替わった後の4xでは、奥の窓の周りが白飛びしているのが気になります。
超広角①
全体的にMi11 Ultraの方が明るい感じがしますね。そして注目すべきは右側の窓ガラスの色。Magic3では無色透明に見えますが、Mi11 Ultraでは少し青みがかっています。また、左側の窓の外についても、Magic3では白飛びしていますがMi11Uではしっかりと描写できています。あと、どちらも最も広角側にして撮影していますが、Magic3よりMi11 Ultraの方がやや画角が広いようです。
超広角②
こちらも上と似たような結果です。Mi11 Ultraの方が明るいですね。そして画角も広いです。
超広角③暗所+HDR
ここは差が出ましたね。Magic3は全体的に暗く、そして何より左側が真っ黒です。HDRが絶望的に機能していないと思われます。本当にHDRが驚くべきほど機能してないです。なんでですかね・・・?オンオフスイッチはないようですが・・・。ちょっとこれは問題ですね。
マクロ
上の2枚はいずれも最短撮影距離からの撮影です。最短撮影距離は圧倒的にMagic3の方が短いです。これに関してはMi11 Ultraがちょっとおかしすぎるんですよね。例えばvivo X60Pro+なんかはHonorと同じくらいの距離で行けますし。ここはXiaomi、改善してほしい点です。また、いずれの機種もオート→マクロ切り替えが自動ではありません!!!これは何度でも言いますが不便です!
メインカメラ①弱い逆光
弱い逆光の写真です。いずれも1x。この程度ではほとんど差が出ませんね。どちらも1xですが、1xでの画角もやや異なっていて、Mi11 Ultraの方が広角寄りのセッティングになっているようです。
メインカメラ②色チェック
こういうシチュエーションではどの端末でもそれなりに撮れるのでここはどっちが良いとは言い難いですね。ただ違いがあるとするならば、Magic3よりMi11 Ultraの方がやや画角が広めで、あとMagic3の方が色が少しだけ濃いような気がします。
メインカメラ③花の色チェック
いずれも花の色の再現性は良好だと思います。ただ背景のボケ方に結構な差があり、ここはdTOFセンサーを搭載しているMagic3の方が自然なボケ方になっているように感じます。Mi11 Ultraは少々ボケ方が不自然に感じます。
ポートレート・アパーチャ
Mi11 Ultraは「ポートレートモード」で、Magic3Pro+は「アパーチャ」で撮影。アパーチャは対人ではなく対物用のポートレートモード的なものになります。いずれも2xズームで撮影です。Mi11 Ultraは被写体の形状を正しく把握できていないようで、拡大してみると変な部分にボケが発生しています。逆にMagic3は拡大してみるとちょっと画像が荒いような気がします。
高倍率望遠比較
上の写真はHonor Magic3 Pro+です。
これは前回のレビューでも載せましたが、高倍率での望遠は両社そこまで大きな差は感じませんでした。ただちょっと色味が違うかな?という感じです。
飯撮り
飯撮りに関しても両者そこまで気にするような差はないと思います。RYYBセンサーを積んだファーウェイ・HONORのスマホはご飯が黄色く変色してしまう写真が撮れることがありましたが、RGGBセンサーを積んだMagic3ではちゃんと撮れます。
HDRテスト②
こちらも前回載せましたが、Magic3のHDRは本当にひどいときが結構あります。そもそもHDR機能がないんじゃないか?と疑うほど。さすがに今のカメラフラッグシップ機にHDRが載っていないということはないと思いたいんですが・・・。見ての通り、HDRがきっちり仕事をしているMi11 Ultraと、HDRが仕事をしていないMagic3では雲泥の差があります。
まとめ:Magic3は・・・うーん・・・
Mi11 UltraとHONOR Magic3 Pro+の比較をしてきました。Mi11 Ultraはメインカメラ級のセンサーを3つ、Magic3に至ってはメインカメラ級のセンサーを4つ搭載しており、どちらのカメラもハード面においては1、2を争うレベルのスマホであることは疑いの余地もありません。しかし、残念ながら特にMagic3 Pro+に関しては、ソフト面が「弱すぎる」と言わざるを得ません。まず低照度環境におけるノイズの酷さが挙げられます。ISO感度がMi11 Ultraと比較しても高く、見るからにディティールが鮮明でないノイズがかった写真が撮れてしまいます。あとHDRが大問題です。今のハイエンド機には当然あるものだと思っていたHDR機能ですが、Magic3 Pro+にはあるか怪しいです。あったとしてもちゃんと働いていません。それから、Magic3は拡張機能の少なさも問題です。天体モードやスローシャッターモードなどがありません。Mi11 Ultraもそうですが、多くのハイエンド機にはMagic3 Pro+よりも多くの拡張機能があります。拡張機能はいずれもソフトの強さが求められるので、その拡張機能が少ないということは・・・です。とにかく、ハード面、スペックにおいては最強なだけに、ソフトの弱さがつくずく惜しいスマホだなと思いました。
Magic3のレビューはこちらもぜひご覧ください。