2023年3月に発売されたOPPOのフラッグシップスマホ、OPPO Find X6 Proのレビューです!このスマホの特徴は何といってもカメラ。世界で唯一、1/1.5インチ以上の大型センサーを3個搭載したスマホとなっています。この記事ではこのスマホにはどのような特徴があるのか?デメリットは?など、気になることをレビューしていきます!
OPPO Find X6 Proのスペック
製品番号 | PGEM10 |
SoC | Snapdragon8 Gen2 Cortex-X3×1 Cortex-A710×2 Cortex-A715×2 Cortex-A510×3 |
NPU | MariSilicon X |
重量 | 218g(飞泉绿,云墨黑) 216g(大漠银月) |
寸法 | 164.8×76.2×9.1 (mm)(飞泉绿,云墨黑) 164.8×76.3×9.5 (mm)(大漠银月) |
ディスプレイ | 6.82インチ AMOLED |
リフレッシュレート | 最大120Hz |
メインカメラ | IMX989 50MP f/1.8 23mm 1インチ OIS |
超広角カメラ | IMX890 50MP f/2.2 110度超広角 1/1.56インチ 15mm |
望遠カメラ | IMX890 50MP f/2.6 65mm OIS 1/1.56インチ ペリスコープ |
インカメラ | IMX709 32MP f/2.4 21mm RGBW |
構成・定価 | 12+256GB 5999CNY 16+256GB 6499CNY 16+512GB 6999CNY |
RAM | LPDDR5X |
ストレージ | UFS4.0 |
生体認証 | 指紋認証〇 顔認証〇 |
バッテリー容量 | 5000mAh |
色 | 飞泉绿、云墨黑、大漠银月 |
充電規格 | 有線最大100W(Super VOOC)・無線最大50W |
防塵防滴 | |
OS | ColorOS 13.1(Android13ベース) |
対応Band (4G) | B1,2,3,4,5,7,8,12,17,18,19,20,26,28, 34,38,39,40,41,66 |
対応Band (5G) | n1,n3,n41,n77,n78,n79,n5,n8,n28, n7,n20,n38,n40,n41,n66 |
まずカメラのスペックで特筆すべきは1インチのIMX989をメインカメラに、そして超広角と望遠にIMX890という、いずれも1/1.5インチ以上の大型センサーを3つ配しているという点です。IMX890はIMX766とほぼ同じスペックのセンサーで、OPPO Find X5 Proなどではメインカメラのセンサーとして使われていました。それほどのハイスペックセンサーを贅沢にも超広角、望遠に使用するかなり豪華な構成になっています。カラーバリエーションは緑、黒と、白とオレンジのツートンの3色となっていますが、ツートンカラーは16+512GB以上限定カラーとなっています。また、ツートンカラーは他の色と比べて寸法や重量が異なります。
開封
外箱です。最近トレンドのシンプルな箱ではなく、結構主張が激しい箱となっています。
箱を開けると付属品などが入った黒い箱があります。
その下に端末が入っています。
その下に充電器とケーブルが入っています。
付属品一覧です。充電器、ケーブル、ケース、説明書、SIMピンが入っていました。ケースは見た目に反してかなり安っぽく、側面もカバーできておらず、柔らかく頼りない感じがありました。
充電器は一応100Vにも対応ですが、100Vだと11V=7.3A(80.3W)が最大です。フルパワーの100Wを出すためには200V~240Vが必要のようです。
外観
ディスプレイです。6.82インチのSamsung製AMOLEDとなっています。輝度が高いのが特徴で、2023年4月現在、Samsung製のスマホディスプレイの中では一番輝度が高いディスプレイを採用しています。
端末下部です。USB-Cコネクタ、スピーカー、SIMトレイがあります。
端末上部です。カメラの出っ張りが目立ちますね。
端末左側面です。OPPO製のスマホによくある、左側に音量ボタンがあるレイアウトになっています。多くのAndroid端末は右側に音量ボタンと電源ボタンがありますが、OPPOのスマホはiPhoneと同じようなレイアウトを採用しています。
端末右側面です。電源ボタンのみが配されています。電源ボタンはOPPOのコーポレートカラーである緑色になっています。
背面です。今回はオレンジと白のツートンカラー(中国語:大漠银月)を購入。円形のカメラはここ最近のフラッグシップのトレンドで、Xiaomi、vivo、Honor、Huaweiなども採用していますね。
使い心地・UIなど
AnTuTuベンチマークスコア
スコアは約132万点で、Snapdragon8 Gen2にふさわしいスコアとなっています。発熱に関しても問題ないように感じます。
発熱・電池持ち
搭載しているSnapdragon8 Gen2は評価が高く、他の機種でも電池持ちが良いと言われていますが、Find X6 Proにおいても発熱はかなり抑えられていると感じます。電池持ちに関してもよっぽど長時間使わなければ普通に丸一日持つと思います。
UIなど
ホーム画面です。ColorOSは中国版でも比較的扱いやすく、いい感じです。
コントロールパネルです。通知センターと一体化されているタイプです。コントロールパネル部分を下にスライドすることにより、他の機能のボタンを表示させることができます。
左からHuawei P60 Pro、vivo X90 Pro+、OPPO Find X6 Proです。サイズ感はX90 Pro+とほぼ同じような感じで、厚さや重量もX90 Pro+に近いです。X90 Pro+と比べるとベゼルが細いです。ただX90 Pro+は非常に使いやすいQualcomm Sonic 3D Maxという超音波式指紋認証を採用しているのに対し、Find X6 Proは光学式指紋認証となっています。
カメラ
カメラUI
基本的なカメラUIです。標準モードから高画素モードに行けるのがちょっと珍しいですね。大抵は別のモードになってることが多いです。HDR、マクロは強制オンにはできません。
機能一覧です。だいたい必要最低限の機能はあるかなという感じです。面白いのが「XPAN」モード。これはどうやらハッセルブラッドのカメラの機種名で、そのXPANでの撮影を疑似体験できるモードのようです。すごく細長い写真が撮れます。
動画モードのUIです。最高画質は4K60fpsで8Kは撮れません。イメージセンサー、SoCはすべて8K対応で、同じIMX989を搭載するXiaomiやvivoでは8Kが撮影できるので、OPPOはちょっと残念ですね。また、4K60fpsではレンズの切り替えもできなくなっています。
PRO(マニュアル)モードのUIです。使いやすいと思います。もちろんRAWも撮れます。
設定画面です。設定項目はかなり多い方だと思います。「10ビットカラー」や「高効率画像」といった面白い機能も付いています。
カメラ作例
夜間ペリスコとボケ
こういった写真はこれまでのスマホでは撮影するのが難しかったですね。まず夜で暗い場所はペリスコを使わせてくれませんし、使ったところで光量不足でまともな写真は撮れないかもしれません。さらに背景のボケもこれまでのスマホよりよくボケるので、特に被写体が近い場所においてはかなり良い感じだと思います。
比較①テレマクロ
Findのペリスコはかなり寄れるので素晴らしいですね。大型センサーということもあり背景のボケも良い感じです。しかし最短撮影距離はP60 Proの方が上ですね・・・。
比較②低照度その1(夜景モード)
メインカメラの低照度性能はX90 Pro+>P60 Pro>>>>>Find X6 Proでしょう。Findは周辺減光も酷く、黒潰れが激しいため、低照度性能は低いと言わざる得ません。
比較3 望遠10x
10倍程度だとぱっと見同じように見えますが、拡大して小さい文字を見るとX90 Pro+とP60 Proは小さい文字も読めたのに対し、Findはほとんどの文字が解読不可でした。
比較4 望遠20x
20xになるとぱっと見の解像度にも違いが出てきます。解像度、解像感ともにX90 Pro+が優秀でP60 Proがそれに迫る感じ。Findは明らかに不自然、シャープネスが強すぎますし、文字潰れも酷いです。
比較5 食べ物
ご飯に関してはどのメーカーも及第点かなと思います。特に悪い点は見当たりませんが、しいて言うなら可変絞りを搭載しているP60は全体的にピントが合っており、良い感じに見えます。
比較6 HDR
Findはどうやらケースが干渉しているようで、右側になんか入ってしまいました(純正ケースではないです)。やはりHDRはvivoが一番いいと思います。
比較7 超広角低照度(夜景モード)
超広角のセンサーサイズはFindが一番大きいのですが、一番暗いのがFindという結果に。いずれの機種でも何枚か撮影していますが、手振れが一番少ないのもvivoでした。一番強そうな超広角低照度で負けるなんて・・・という思いです。
比較8 超広角マクロ
超広角で一番寄れるのはP60 Proでした。次にFind X6 Pro、X90 Pro+の順番となりました。
比較9 テレマクロその2
X90 Pro+はテレマクロがないのでありません。Findの色味はやや強めで、色味が強い被写体だと結構キツイ色になることがあります。
比較10 望遠2x
2x程度ではどの端末も大した差はありませんが、P60 Proがややコントラスト強めです。X90 Pro+は2xの光学望遠ができるため、一番画質はよさそうです。
比較11 望遠3x
Findは2.7xからペリスコに切り替わるのでペリスコの写真です。3xではメインカメラからのデジタルズームとなるP60 Proの画質が悪く、X90とFindはそこまで大きな違いはありません。
比較12 望遠4x
35mm換算でだいたい100mm前後の画角です。ここからすべてのスマホがペリスコを使います。どれも解像度はほとんど変わりません。
比較13 望遠5x
だいたい120mm前後の画角です。拡大するとFind X6は解像度が悪い上にシャープネスが強すぎて不自然な仕上がりとなっています。
比較16 HDR・レンズフレア
暗い場所とHDRなのでやはりX90 Pro+が優位に見えます。しかしFindも案外悪くなく、P60 Proが一番悪いように見えます。
まとめ・・・期待値が大きすぎた
OPPOのフラッグシップスマホはFind X2 Proを最後に暗黒時代に突入しました。X3 Proではペリスコープがなくなり望遠が大幅に弱体化。代わりに顕微鏡のようなマクロ撮影ができるカメラが搭載されましたが、X5 Proではこれも廃止。その代わりマリシリコンというNPUと強力な手振れ補正が搭載されましたが、メインカメラのセンサーサイズはX3/X5 Proともに1/1.56インチのIMX766。他社が1/1.3や1/1.1インチクラスのセンサーを積む中、正直他社のフラッグシップと比較するとカメラにおいて明らかに見劣りするものとなっていました。
Find X6 ProにおいてはFind X2 Pro以来となるペリスコープ望遠を搭載。しかもペリスコープのセンサーサイズとしては世界最大となるIMX890を搭載。さらにメインカメラは1インチのIMX989と、メインカメラ、超広角、望遠の三種の神器においていずれも世界最大となるセンサーサイズのイメージセンサーを搭載しました。Find X5 Proにおいて、1/1.56インチセンサーにしてはメインカメラも頑張っているイメージだったので、これが1インチのIMX989になれば本当に覇権クラスでは?と思っていたのですが、現実は甘くありませんでした。
そもそも今年のフラッグシップ市場はかなりハイレベルです。昨年末に発表されたvivo X90 Pro+を皮切りに、超望遠最強のGalaxy S23 Ultra、可変絞りを搭載したHuawei P60 Pro、1インチ+可変絞りなどを搭載したオールラウンダー、Xiaomi 13 Ultraなど、各社総じて近年稀にみるハイレベルな戦いを繰り広げています。Find X6 Proも去年発売されていればまさしく神スマホ!だったのですが、このハイレベルな争いの中において、カメラのレベルは決して高いものとは言えず、結果的には残念なスマホというのが正直な感想であります。
カメラにおいて特に不満なのは望遠の解像度です。他社と比較して圧倒的に解像度が悪いです。これはペリスコの倍率が低いのと、2年以上フラッグシップにペリスコを搭載してこなかったツケが出ているのだと思います。ただペリスコ自体は最短焦点距離も短く、何より背景がボケるし夜間でも撮影できるという強みがあるので、望遠に関しては解像度を度外視すれば概ね満足できるレベルです。メインカメラに関しては同じセンサー(IMX989)を搭載しているX90 Pro+と比較して低照度性能、HDR、デジタルズームの解像度など、ほとんどの項目において圧倒的に劣り、残念でした。X90 Pro+の完全下位互換と言っていいと思います。超広角は3代続けて超広角としては最大級のセンサーであるIMX890(=IMX766)を搭載していますが、こちらも特段低照度性能において強みを感じることはできませんでした。唯一マクロ性能だけは良いなと感じましたが、それだけですし、P60 Proの方が寄れるので別に覇権とかではないですね。ただセンサーサイズが大きいだけ、センサーサイズの数字は飾りでしょうか。
メイン、超広角、望遠にいずれも世界最高のセンサーを積みながら、どれを取ってもナンバーワンになれない残念なスマホだと思います。
カメラは一旦置いといて、カメラ以外に関してはかなり良いと思います。動作もサクサク、電池持ちも良好、発熱も控えめと、ゲームをするのであればかなり良い選択肢ではないかと思います。また、日本キャリアのVoLTEにも完全対応しており、band的にもB18/19に対応しているのも良いところです。UIも使いやすく、カメラ以外に関してはこれといった不満点はありません。
それだけにカメラが惜しいですね。メインカメラの低照度性能においてはX90Pro+にもちろん負けますし、ペリスコープの感光性能もP60 Proに負け、最短焦点距離においてもP60 Proに負けます。さらに何といってもソフトウェアが貧弱で、特に解像度はシャープネスが強すぎて意味不明なまでに気持ち悪い写真が撮れることが多々あります。ハードウェアを考えればまだまだまだまだまだまだまだまだ伸びしろしかないですね。OPPOはもともとソフトウェアを頑張っているというイメージが強いので、今後徹底的にソフトウェアをアップデートし、vivoやXiaomiなど同じ土俵に立てるくらいのレベルに行ってほしいなと思います。特に解像度や低照度性能においてアップデートを期待します。
・性能◎ 発熱も良く電池持ちも良い
・接写もできる世界最大ペリスコープカメラ搭載
・UIが使いやすい
・夜間でもペリスコープを使える
・ディスプレイの性能が高い
・望遠の解像度が低い
・センサーサイズが大きいのに超広角の性能が低い
・低照度性能が低い
・とにかくカメラが微妙