これまで、日本ではVoLTEが使えず、カメラは最強ながら、なかなか日本で使うのが難しかったvivoのスマホ。しかし、OriginOSの最新バージョンであるOriginOS Oceanにアップデートしたvivoユーザーから、一部のキャリアにおいて「VoLTEが有効化されている」という報告が相次いで寄せられています。もしかしたら、これからvivoのスマホが日本のVoLTEに順次対応していくという可能性が見えてきました。
日本市場には参入していないvivo
現在、世界のスマホ出荷台数のおよそ7割を5社が独占している状況が続いています。この5社とは、Samsung、Apple、Xiaomi、OPPO、そしてvivoです。この5社のうち、唯一vivoだけが日本市場に進出していません。どうやら日本法人は設立しているようですが、現時点で日本進出の動きは確認できていませんし、iPhoneと国産志向が強いユーザーが多い日本では、すでに「それ以外」のユーザーをOPPOやXiaomiが激しく取り合うような状況で、仮にvivoが進出してきたとしても厳しい戦いを強いられるのは避けられないと思われます。そういった状況もあり、個人的には現時点でvivoの日本参入の可能性は低いと見ています。
しかし、vivoのスマホは中国をはじめ、インドなどでも多く販売されています。現在はコロナ禍で外国人観光客はほとんどいませんが、コロナ禍が明ければvivoのスマホを持った外国人観光客が多く日本へやって来ると思われます。現在、日本では楽天モバイルは3Gがありませんし、auも今年3月に3Gを停波、SoftBankもdocomoも近いうちに3G回線が停波されますから、近いうちにVoLTEに対応していないスマホは通話が不可能になってしまいます。もちろんこれは外国人向けのレンタルSIMも例外ではありません。今回のVoLTE対応は、主に外国人観光客が来日した際に使えるように・・・ということを考えてのことかなと、個人的には思っています。
とっても面倒臭いVoLTE
VoLTEというのは、インターネット通信のみならず、音声通話においても4G回線を使うことで、3Gより高音質で通話をすることが可能となります。現在、日本のSIMカードは多くが3G回線を使えないSIMで、そういったSIMカードを使う場合VoLTEに対応していないスマホは通話ができなくなってしまいます。スマホを日本で使うにあたってはほぼ必須で、なおかつ最も大きな壁となっています。海外スマホの場合、プラチナバンドに対応していない端末がありますが、ぶっちゃけプラチナバンドは対応していなくとも大抵はなんとかなります。しかし、VoLTEに対応していない場合、通話はおろかネット通信に関しても大きく制約が出てしまいます。LINEMOなど、3Gも使える契約の場合はVoLTEがなくても全く問題はありませんが、いずれのキャリアも近いうちに3Gの停波が予定されており、近いうちにVoLTEがないスマホは日本で使えなくなります。また、国内端末でもキャリアが販売している端末は、販売しているキャリア以外ではVoLTEが対応していないケースが多々あります。
中国メーカーのVoLTE対応状況ですが、まずHuawei(Honor含む)は、初期状態でVoLTEに対応している端末も多い一方、初期状態で対応していない端末は手動開放が不可能な仕様となっています。Xiaomiは初期状態で対応していなくとも、コマンドを使って簡単にVoLTEの開放が可能な仕様になっています。OPPO、Realmeと、OnePlusのうちColorOSを搭載している端末で、初期状態で対応していないスマホは開放が不可能と思われてきましたが、最近ついに手動開放の手段が発見され、多くの端末で手動開放が可能になりました。そしてvivo。vivoは日本に展開していないということもあり、初期状態でVoLTEに対応している端末はないと思われます。また、OriginOSの前身、FuntouchOSと、OriginOS搭載端末でも初期の方に登場した端末(X60Pro+など)では手動開放が可能になっていましたが、X70Pro+など、最近の端末ではこの手動開放の手段も塞がれている状況でした。
オープンベータ版OriginOSでVoLTEに対応?
2021年12月28日より、vivoは順次OriginOSの最新版で、Android12ベースとなるカスタムOS、OriginOS Oceanを配信しています。現在このオープンベータ版は主に新しめのハイエンドモデルを中心に配信されており、日本で人気のX70 Pro+、X60 Pro+などにも対応しています。2022年1月6日時点ではまだオープンベータ版で、正式版の配信はまだですが、近いうちに出るのではないかと思われます。
このOriginOS Oceanにアップデートしたvivoユーザーから、「VoLTEが有効化された!」との報告が相次いでいます。現時点で報告されているのは楽天モバイルとdocomoのみ。auとSoftBankは今のところ確認できていません。なお、iQOO5 Proなど、ごく一部の端末に関しては、このアップデート前からVoLTEが使える端末があったようです。OriginOS Oceanにアップデートした当初はdocomo系列にはVoLTEが来ていませんでしたが、その後特にアップデートされていないにも関わらず、いきなりdocomo系列にもVoLTEが降ってきました。
※追記・・・1/7 Softbank系でもVoLTE出現を確認。
VoLTEが有効化されるとどうなる?
VoLTEが有効化されると、設定→モバイルネットワーク→SIM1(SIM2)のページを開くと、「VoLTE HD通話」という項目が出現します。また、電話アプリを開くと、「HD通話を有効化しますか?」と表示されるようになり、「はい」を押すとVoLTEが有効化されます。またVoLTEが有効化できる状況になるとLTE Onlyに設定することなく、インターネットに接続できるようになります。
ただし、2021年1月5日現在、電話を発信しようとすると、なぜか発信できずに通話が終了してしまいます。なおRakuten Link経由で発信すると、問題なく発信できることを確認済みです。着信とSMS受信に関しては問題ありません。そのため、Rakuten LinkのSMS認証は問題なく行うことができます。
追記:vivo X80シリーズではVoLTE不可に?
2022年4月に発売されたvivo X80シリーズではVoLTEが完全にふさがれた模様です。私は直接確認していませんが同時期に発売されたX Note、X Foldについてもどうやら同じく塞がれたようです。少なくともrootを取ったりしない限りはVoLTEが使えないと思われます。ただし、LTE Onlyに設定することで4G通信は可能で、3Gが使えるSoftbankのSIMでは3Gで通話も可能のようです。また、楽天モバイルの場合Rakuten Linkを使えば発信・着信ともに可能です。SMSの受信も可能です。auやdocomoの3Gが使えないSIMを使いたい場合は注意が必要です。
まとめ:これからに期待?
vivoのスマホは特にカメラの性能に関してとても高い評価を得ており、日本においても特にカメラを重視したX60Pro+、X70Pro+はかなり人気があるようですが、これまではVoLTEの壁があり、日本で使うのが難しい端末でした。しかし、ベータ版と言えどもVoLTEのマークが表示されたというのは非常に大きな進歩です。今のところ発信ができないという不具合?がありますが、これらが改善され、正式版OriginOS Oceanで日本のVoLTEが実装されたらいいなあ・・・と思っています。果たしてどうなるでしょうか!