交通評論

【2024年ダイヤ改正】JRグループ各社がダイヤ改正の概要を発表!どう変わる?

2024年春のJRグループ各社の改正の概要について掲載しています。また、北陸新幹線部分開業に伴う動きについても掲載しています。

JR北海道

快速エアポートを増便 一部は区間快速へ

快速エアポートは常に混雑していましたし、増便はありがたいですね。ただし普通列車は減便となるようです。また、増発分の一部を区間快速とし、北広島~新千歳空港は各駅停車となるようです。

737系を岩見沢~旭川間に投入・石北線、釧網線の全車がH100系へ

現在室蘭本線で走っている737系を、函館本線の岩見沢~旭川にも投入されるようです。同区間は現在721系が主に運用されていますが、ついに置き換えですね。

また、H100を釧網本線、石北本線に投入し、一気にキハ40/54を全車置き換えるようです。H100は急速に勢力を拡大しており、今改正でキハ40/54を見ることがますます減りそうです。

根室本線の一部が廃線に

ダイヤ改正後の2024/3/31で根室本線 富良野~新得間が廃線となります。このうち東鹿越~新得間は2016年の災害によりバス代行輸送が行われていました。富良野~東鹿越はこの災害も乗り越え鉄路が復旧していましたが、残念ながら今回廃線となります。これにより根室本線は滝川~富良野、新得~根室の2つに完全に分かれることになります。

廃駅

石勝線:滝ノ上駅

宗谷線:初野駅、恩根内駅

石北線:愛山駅

函館線:中ノ沢駅

特急列車の一部が全車指定席に

こちらは先月すでに発表されていましたが、特急北斗、すずらんおおぞら、とかちが全車指定席になります。また、カムイ、ライラックについても指定席が拡大されます。指定席の利用回数に制限がある北海道フリーパスなどが使いにくくなるのでちょっと痛いですね・・・

JR東日本

山形新幹線「つばさ」にE8系投入

E8系は300km/hでの運転に対応しており、これにより東北新幹線内での連結列車がE2系からE5系へ変更、所要時間は短縮されます。改正当初は2本が投入され、3往復が置き換えられるようです。JR東日本に新型の新幹線が入るのは、E7系以来9年ぶりとなります。今後E3系を順次置き換えていく見込みです。まずは古いE3系1000番台から先に置き換えていくものと思われます。

房総特急にE259投入・一部列車の運転見直し

特急しおさいにE259を投入し、255系を置き換えるようです。E259は成田エクスプレス用の車両で、少し前から前面の貫通扉のロゴを「N’EX」のロゴから「E259」に変更する作業が続いていました。

しかし外国人も多く乗車する成田エクスプレスと同じホームから発着し、全く同じ車両で成田空港まで行かないので、誤乗が頻発しそうですね。

また、E257を2本繋げた10両での運転もなくなるようです。これにより房総特急は5両または6両ということに。さらに房総特急は全ての系統において減便となり、「しおさい」は土休日では全体で2往復減となります。「わかしお」も減便となり、土休日の上りは最大で4本減となります。「さざなみ」も下りが1本減便となります。房総特急は以前から高速バスに押され気味でしたが、今回の改正ではより一層房総特急の衰退が加速しましたね。

また、成田エクスプレスは新宿~八王子間での運転を終了するようです。これによりE259系の中央線乗り入れ定期列車はなくなります。

「スーパーつがる」誕生

青森~秋田間を走る特急つがるのうち、1往復の停車駅を減らし、おおよそ所要時間を10分程度短縮し、列車名も「スーパーつがる」に変更するようです。これは誰も予想していない動きでしたね。驚きました。

京葉線の快速を大幅減便

京葉線の快速は昼間の時間帯のみを残し、朝夕は全列車が各駅停車になります。これは利用者にはかなりの痛手ですね。これにより改正前と比較し快速の本数がおよそ半減となります。また、通勤快速は全部廃止となる見込みです。

鶴見線がE131系に 205系引退へ

現在205系で運転されている鶴見線ですが、改正で全列車がE131系に置き換えとなります。いよいよ首都圏から205系が撤退ですね。

普通列車グリーン料金大幅値上げ

東海道線や高崎線、宇都宮線などに連結されている普通列車のグリーン車が大幅な値上げとなります。唯一、平日かつ50km以下、Suica利用時のみ780円から750円への値下げとなりますが、それ以外では全て値上げです。ホリデー料金が廃止となり、101km以上の料金が新設されるため、例えば東京~熱海(100km以上)、土日利用の場合、1060円→1550円(Suica利用の場合、紙のきっぷの場合は1810円)と、大幅な値上げとなります。

また、このお知らせをしたJR東日本の公式Twitter(X)では、あたかも値下げするような文面で投稿しており、Twitter上で大炎上しました。企業姿勢が問われる問題となりそうです。

JR東海

ひかりの静岡駅、浜松駅、豊橋駅への停車本数が1本増

夜、下りのひかりの静岡駅、浜松駅、豊橋駅の停車本数が1本ずつ増加します。静岡駅へは東京18:33のひかり657号が新たに静岡停車となります。このひかりは静岡の次が豊橋と、あまり見ない停車パターンとなります。浜松へは東京19:30発のひかり661号が新たに浜松に停車となります。豊橋へは東京20:12発のひかり663号が停車するようになります。浜松市民でそれくらいの時間によく利用するので、私にとってはありがたい改正です。

また、浜松→静岡間において、朝1本こだまが増発されます。これまで三島発だったこだま818号が浜松始発となります。その代わり静岡発のこだま820号が静岡始発から三島始発になりますが、静岡~浜松では実質的な増便となり、浜松始発のこだまは1日3本となります。

中央線は昼間の減便・快速廃止・最高速度引き上げ

中央線ではすでに全列車が315系に統一されており、ダイヤ改正を機に最高速度が110km/hから130km/hに引き上げられます。しかしこれによる時短効果は限定的で、名古屋~多治見で平均1分、多治見~中津川間でも平均3分程度の短縮に留まっています。

また、昼間の快速が廃止になり、区間快速に引き下げられます。区間快速は古虎渓と定光寺のみを通過し、名古屋~高蔵寺は各駅に停車となります。また、これにより普通列車が毎時2本減便となります。特に愛岐トンネル群の公開がある日は定光寺駅に快速が臨時停車するので、通過駅が1駅しかなくなってしまいます。

北陸新幹線の開業に伴う動き

北陸新幹線 金沢~敦賀間が部分開業

北陸新幹線の金沢~敦賀間が部分開業します。福井県から東京へのアクセスが向上する一方、関西から北陸へのアクセスは敦賀駅での乗り換えが新たに発生するようになり、アクセス性が低下します。特に関西・東海~福井では、所要時間の短縮は最大でも3分に留まっており、これに乗り換えが増加し、さらに料金もかなり高くなってしまいました。敦賀駅での乗り換え時間は最短8分となっています。武雄温泉駅とは異なり対面乗り換えではなく、在来線は1F、新幹線は3Fにあるため移動にも時間がかかります。特に歩くのが遅い方や車いすの場合、乗り換え時間が不足しないか不安です。

新規開業区間である金沢~敦賀間は東京から直通で最速のかがやき、同じく東京直通で停車駅が多いはくたか、サンダーバードとしらさぎに接続する区間列車であるつるぎの3種別合計で1日40往復が運転されます。概ね毎時2~3本の本数は確保されています。本数がかなり多く感じますが、これは特に冬場は主に湖西線の強風により遅延が常態化しているサンダーバードとの接続確保の意味合いもあるかと思われます。「つるぎ」は従来各駅停車でしたが、一部列車では通過駅が設定されました。また、従来つるぎではグランクラスを含む8~10号車、12号車を封鎖していましたが、ダイヤ改正よりグランクラスを含む12両すべてに乗車可能となります。

サンダーバード、しらさぎは全列車が敦賀止まりに

これまで大阪~金沢間で運転していたサンダーバード号、名古屋・米原~金沢間で運転されていたしらさぎ号は、全列車が敦賀止まりとなります。一部のしらさぎは米原~敦賀間の超短距離特急になります。また、和倉温泉に直通していたしらさぎ、サンダーバードも廃止となり、七尾線の特急は全て金沢~和倉温泉間での運転となります。これにより従来直通していた名古屋・関西~七尾・和倉温泉は、乗り換え2回が必須となります。料金も大幅な値上げとなります。これにより関西から敦賀を越えて北陸へ直通する定期列車は完全に消滅し、敦賀での乗り換えが必須となります。改正後サンダーバードは25往復、しらさぎは15往復(うち米原発着が7往復)運転されます。

金沢~敦賀間が第三セクターに移管 ハピラインふくいが開業

新幹線が開業し並行在来線になった区間が第三セクターに移管されます。このうち金沢~大聖寺間がIRいしかわ鉄道に、大聖寺~敦賀間が新規開業するハピラインふくいになります。ハピラインふくいではすでに改正の概要を公開していますが、これによると普通・快速前は移管前と比較して29本増加します。増便される区間は芦原温泉~敦賀間の福井県区間のみで、石川県区間はJR時代と同じ本数となっています。また、敦賀~福井間では上下合わせて9本の快速列車が新設されます。これは特急が廃止になり、新幹線が通らない区間の救済という目的もあるかと思います。また、直通列車も今まで通り運転され、敦賀~金沢間の列車も3本運転されます。ただし金沢を越えて富山方面に直通する列車は発表されていません。なお、現在越前花堂~福井間で北陸本線に乗り入れている越美北線(九頭竜湖線)は、引き続き福井まで乗り入れます。ハピライン福井の車両はJR西日本から521系が移籍してくる予定です。これによりかつて米原~直江津、約350kmあった北陸本線は、米原~敦賀間の45.9kmを残すのみとなります。運賃については全体的に値上げとなります。青春18きっぷなど、企画乗車券の取り扱いについては現時点で発表されていません。

JR西日本

スーパーはくと 運転区間・本数の見直し

現行7往復運転されているスーパーはくとのうち、2往復以外は京都発着から新大阪発着となり、区間短縮となります。その代わり1往復増便し、改正後は8往復となります。

通勤特急「らくラクやまと」新設

新大阪~奈良間で新しい特急「らくラクやまと」が新設されます。かつて存在していた「やまとじライナー」的な通勤特急で、新大阪行きが奈良7:13発、奈良行きが新大阪19:43発となります。車両は「くろしお」用287系が使用されるようです。直通快速とは異なりおおさか東線経由ではなく、天王寺、大阪環状線経由で天王寺から先は「はるか」「くろしお」などと同じ経路になります。

また、関西本線(大和路線)およびおおさか東線では、2023年10月23日より運用されている「うれシート」が拡大されます。「うれシート」は従来の大和路快速、直通快速の一部を指定席化したもので、ダイヤ改正を機に拡大されるようです。従来は平日のみの設定でしたが、改正後には土日にも設定され、

【4/6から】特急やくもに新型車両273系投入

ダイヤ改正後になりますが、4/6から特急やくもに新型車両の273系が投入され、381系を順次置き換えていきます。最後の国鉄特急顔となっている特急やくもの381系ですが、いよいよ本格的な置き換えが始まります。273系は4両固定編成で、381系と同様に振り子式を採用しており、さらにグループ用半個室なども設けられる予定です。4/6から6往復が新型車両に置き換えられます。今後11編成を投入し順次置き換えが進む予定ですが、現在の381系の在籍車両数に対し大幅に少ない投入車両数となっており、今後さらに追加の増備があるものと推測します。ないと結構まずいと思います。

特急列車の一部が全席指定に

JR西日本の特急列車のうち、サンダーバード、しらさぎ、スーパーはくと、スーパーいなば、やくもが全席指定になります。長距離利用だとあまり影響はないかもしれませんが、特にやくもなどは普通列車の本数が少ない区間も走っており、短距離での利用の場合は相当な値上げになります。また、これに伴い、全席指定席になる列車が走る区間の特急用定期券(パスカル)も廃止となります。

JR九州

「A列車で行こう」が1往復削減

三角線の観光列車、「A列車で行こう」が1往復削減され、2往復になります。A列車で行こうは観光列車の割に運転時間が短めでしたが、このうち下りの2往復では所要時間をあえて15分ほど延ばすという改正になっています。

また、日南線の観光列車「海幸山幸」のうち、臨時列車で運行頻度が低い1往復が廃止となります。

福岡エリアの列車の見直し

福岡エリアではコロナ禍以降、大規模な減便が行われ、混雑が常態化しており、また快速の一部廃止や座席の撤去などによるサービスの低下が著しい状況になっていましたが、まず一部区間において昼間の快速運転が再開されます。改正後新たに快速運転を行うのは鹿児島本線の折尾~福間、鳥栖~羽犬塚となっています。また、普通列車の一部が海老津~折尾間で運転区間を延長します。さらにラッシュ時間帯に鹿児島本線、福北ゆたか線で増便があります。しかしコロナ前のダイヤにはまだほど遠く、根本的な解決にはならないものと思われます。

(全国)乗継割引の廃止

これまで新幹線と在来線を乗り継いだ時、条件を満たしていれば在来線の特急料金が半額になる「乗継割引」が廃止となります。2023年の改正で西日本、四国などにおいて縮小が行われていましたが、東海、東日本を含め全体的に廃止となります。改正後に新幹線~在来線特急を乗り継ぐ場合、新幹線の料金と在来線特急の料金がそれぞれ満額かかってきますので、利用区間によっては1000円以上の実質値上げとなります。ただし北陸新幹線の敦賀と、西九州新幹線の武雄温泉のみは例外となります。

JRのプレスリリースでは「ネット予約の割引運賃の拡充」を主な廃止理由に挙げていますが、乗り継ぎ割引のようなシンプルさは一切なくなり、適用条件などもあることが予想されるため、本心としては収益の改善に繋げる意図しかないと思われます。

全体のまとめ

2023年になりようやくコロナ禍もほぼ終了し、鉄道の利用者もコロナ前の水準までほぼ回復しました。ただしコロナ前と比べると鉄道の利用にも変化が生まれているようで、例えば今年の12/12時点での年末年始の東海道新幹線予約状況は、2018年と比較して117%となっています。もちろん全席指定席にした影響もありそうですが、コロナ前を大きく上回る水準となっています。一方通勤電車はコロナ前の水準にはまだ戻っておらず、若干ながらリモートワークなどが定着した企業があるのかなと推測します。

これにより鉄道会社の収益も去年、一昨年に比べれば改善しているようで、ようやく大減便の波は収まりつつありますが、残念ながら運賃の実質的な値上げやサービス悪化の波は止まりそうもありません。運賃においてはかなりお得感があった乗継割引が廃止となりますし、各社で特急の全席指定席化が行われ、さらにJR東日本では普通列車グリーン料金が値上げとなり、実質的な値上げが続いています。サービスの悪化も止まりそうもなく、今年は東海道新幹線の車内販売が廃止されたりもしましたし、有人駅の無人化、みどりの窓口の廃止の波も全く終わる気配がありません。

こうした状況を踏まえると、残念ながら来年以降もこういった値上げ、サービスの廃止、人員削減などの波は続いていくものと思われます。これまでコロナ禍の影響をあまり受けていないと思われた東海もついに減便、サービスの削減に踏み切りましたし、今後はむしろこういった波はどんどん大きくなっていくかもしれません。JRももうすぐ発足40年を迎え、限界を迎えている感が否めません。国鉄ですら40年持たなかったのですから、JRが限界を迎えるのも仕方がないことだと思います。このあたりで国内の鉄道を国が主導して大規模に再編していく必要があるように感じます。もっとも、国が公金を投じて公共交通機関を維持していく気があるならば、の話ですが・・・。

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